取り込みを行う過程で機運が高まった可能性も

 福吉氏は当初、費用負担をすることが最も有効な取り組みだと思っていたそうだが、(2)の企業の中で最も多く行われていたのは費用負担ではなく受診勧奨の取り組みだった。「予算がなく、費用の負担までは難しいという企業でも、別の対策で十分受診率を向上させられる可能性があることが分かった」と同氏は話す。

 この12の取り組みは、これまでがん対策推進企業アクションを進めてきた中で、初めて見えてきた新しい知見だという。ただし、「この取り組みそのものが受診率を向上させるのか、取り組みを行うプロセスにおいて議論が行われることが社内のがん対策に対する機運を高めていくのかは分からない」と同氏は指摘する。

「12の取り組みは、初めて見えてきた新しい知見」と語る福吉氏(写真:がん対策推進企業アクション事務局)
「12の取り組みは、初めて見えてきた新しい知見」と語る福吉氏(写真:がん対策推進企業アクション事務局)
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 例えば、12の取り組みのうちの一つである「管理職から従業員へ受診勧奨するよう管理職に対する通知をしている」ことを行っている企業は受診率が高かった。この取り組みを行うに当たり、管理職が受診勧奨をすることを社内でルール化するには、経営会議の中でも議論が行われている可能性が高い。つまり、管理職が受診勧奨を行うことが効果的であると同時に、「こうした取り組みを行うために経営層が議論をしたということが、社内におけるがん検診やがん対策の位置づけを向上させた可能性もある」と同氏は見ている。

(タイトル部のImage:monsitj -stock.adobe.com)