主力製品である掃除機において吸引力などの機能性を訴求してきたダイソン。同社は今、“より良い住環境づくり”に注力しはじめている。

 住宅内の環境衛生や健康などを意識した製品展開としては、既に2015年に空気清浄機能を備える送風機「Dyson Pure Cool」を発売。2016年にはスマートフォン(スマホ)の「Dyson Link」アプリと連動して屋外や屋内の空気の状態を可視化する機能を追加した「Dyson Pure Cool Link」を発売している。

 そして、このほど開催された全方向駆動可能な充電式スティック型の掃除機「Dyson Omni-glide」(発売は2021年4月7日)発表会でも、その方向性の変化がうかがえた。会場に設置されたDyson 創業者 兼 チーフエンジニアであるJames Dyson氏のメッセージとして、「衛生的な住環境」といった言葉が発信されたのである。

同製品の発表会場に設置されたDyson 創業者 兼 チーフエンジニア James Dyson氏のメッセージ(撮影:Beyond Health)
同製品の発表会場に設置されたDyson 創業者 兼 チーフエンジニア James Dyson氏のメッセージ(撮影:Beyond Health)
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 製品開発に伴う研究を活用した健康関連の情報発信にも積極的だ。例えば、Dyson Linkアプリを利用者からのデータを利用し、2020年4月7日~5月27日にかけて東京都内で使用された同社の空気清浄機による空気質統計データを調査した結果、前年同時期に比べてNO2が30%増加、VOC(揮発性有機化合物)が27%増加していたことが明らかになったとして、在宅時間の長時間化に伴う室内空気質の低下に注意を呼び掛けている。

 また、従来実施している一般家庭からハウスダストの収集・研究に加えて、2020年10月~11月には日本を含む主要10カ国、1万754人を対象とするグローバルダスト調査を実施している。同調査によれば、ニューノーマルな生活様式下、59%の人が掃除回数や頻度を増やしたと回答したという。特にスペイン、中国、米国、イタリアでは6割以上が増やしたという。

 日本でも31%が掃除回数や頻度を増やしたと回答。「日本の家庭は長時間、床で生活する場合が多く、ローテーブルで食事をとることもある。素足で感じられるほどの清潔感が必要とされている」(Dyson Country Quality Lead-Tokyoを務めるJames Shale氏)。

 ダイソンは2020年11月に製品ポートフォリオを2025年までに倍増させるとして新たな技術研究開発に27億5000万ポンド(1ポンド=141円換算で約3878億円)を投資する計画を発表している。英国の拠点では先端ロボット工学研究とAIへの取り組みを強化し、複数の技術分野における新たな研究を後押しするとしており、持続可能で健康的な室内環境とウェルビーイングを実現する製品の研究開発も進める考えだ。