富士フイルムはこのほど、「メディカルシステム事業戦略」に関する記者説明会を開催。同社 執行役員 メディカルシステム事業部長の秋山雅孝氏は、「2026年度に売上高7000億円を目指す」という中期売上目標を提示した。

メディカルシステム事業の目標の概要(写真:近藤 寿成、以下同)
メディカルシステム事業の目標の概要(写真:近藤 寿成、以下同)
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 秋山氏はまず、2021年度の振り返りとして4つのポイントを挙げた。

 第1は「富士フイルムヘルスケアとのグループシナジー創出」である。富士フイルムヘルスケアは、日立製作所の画像診断関連事業を買収し、2021年3月に始動。製品ラインアップ拡充に加えて、富士フイルムの画像処理技術やAI技術などを掛け合わせることで「製品の付加価値をさらに高めるような取り組み」(秋山氏)を推進した。両社の販売チャネル・顧客基盤を活用し、グループ全体での販売力の強化も図っている。

 第2は「AI技術の活用範囲拡大」である。富士フイルムは2018年からAI技術ブランド「REiLI」をスタートし、AI技術を搭載したさまざまな製品を海外も含めて展開している。2020年度は57カ国だったが、2021年度は70カ国以上に拡大しており、今後はインドで始めた健診サービスを新興国にも展開していく予定だ。

富士フイルム 執行役員 メディカルシステム事業部長の秋山雅孝氏
富士フイルム 執行役員 メディカルシステム事業部長の秋山雅孝氏
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 第3は「内視鏡事業の成長」。LCIやBLIなどの特殊光を使った画像技術やAI技術を用いた内視鏡画像診断支援システム「CAD EYE」、内視鏡情報管理システム「NEXUS」を含めたIT製品の組み合わせによる診断ソリューションを展開。秋山氏によれば、2021年度の内視鏡事業の売上高は「2020年度に対して30%の成長を見込んでいる」という。

 第4は「新型コロナウイルス感染症拡大防止に寄与する製品拡販」である。グループの総力を結集した幅広い検査ソリューションを展開しており、医療機関のみならず、研究機関や高齢者施設、自治体、企業、個人をサポートしてる。これらの取り組みから「2021年度は大きく売り上げを伸ばせる見込みだ」と秋山氏は力強く語り、「新たなステージでの一歩を力強く踏み出す年になった」と総括した。

今後の5つのポイントとは…

 そして、メディカルシステム事業の今後の戦略については、5つのポイントを挙げた。

 (1)は「AI・ITソリューションビジネスの拡大」。REiLIを中心に据えてAI技術を活用した製品開発を加速。「高画質化」「臓器セグメンテーション」「コンピュータ診断支援」「ワークフローの効率化」という4つのアプローチで医療ITを開発し、その開発技術を最適なプラットフォームで迅速に製品搭載していく。

メディカルシステム事業の今後の戦略に関して、「AI・ITソリューションビジネスの拡大」の概要
メディカルシステム事業の今後の戦略に関して、「AI・ITソリューションビジネスの拡大」の概要
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 富士フイルムホールディングスは中長期CSR計画「Sustainable Value Plan 2030(SVP2030)」で「医療サービスへのアクセス向上」を掲げており、富士フイルムのAI・ITソリューションは「これを実現するためのコアの1つに位置づけられる」と秋山氏は補足する。さらに富士フイルムとしては、AI技術搭載の幅広い製品ラインアップを活用した世界中への提供を通じて「医療アクセスの向上を実現し、社会課題の解決に貢献する」と付け加えた。

 (2)は、「富士フイルムヘルスケアとのシナジー」を生かした戦略である。富士フイルムが持つ世界約170カ国の販売網を最大限に活用し、富士フイルムヘルスケアの製品を拡販していく。

 (3)は「IVD(体外診断)事業の海外ビジネス拡大」である。新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、海外でもクリニックでの即時検査や病院の隔離病棟等での簡易検査の需要が拡大しているほか、ペット市場の拡大による動物向けの検査機会が増加していることから、需要の拡大が見込めるPOCT(Point of Care Testing)領域での海外展開に注力して事業を拡大していく。

 (4)は「内視鏡事業におけるデジタル診断支援ソリューションビジネスの拡大」。内視鏡事業はNEXUSを含めたIT製品の組み合わせによる診断支援を展開しているが、CAD EYEアプリケーションの拡充によって対象疾病の追加やカバーするワークフロー領域を拡大していく。

 (5)は「新型コロナウイルス感染症などの感染拡大防止に寄与する製品の展開」で、検査キットをはじめとする製品・サービスを、必要な時に必要な所へ提供するための供給体制を構築。AIやIT技術を活用した製品を通じて「医療従事者の負担を軽減するとともに、医療ひっ迫を防ぐ取り組みを進める」(秋山氏)ことで、社会課題の解決に寄与していくとした。

(タイトル部のImage:近藤 寿成)