富士フイルムは2021年3月31日、日立製作所の画像診断関連事業の買収を完了し、グループの新会社として「富士フイルムヘルスケア」をスタートさせた(関連記事:「富士フイルムヘルスケア」が始動、日立の画像診断関連事業の買収完了)。これを受けて富士フイルムは同年4月8日、富士フイルムヘルスケアを含めた「メディカルシステム事業の今後の成長戦略」に関する説明会を開催した。

ヘルスケア領域全体で1兆円規模を目指す

 富士フイルムグループにおけるヘルスケア事業は、3つのセグメントのうちの一つ「ヘルスケア&マテリアルズソリューション」に位置付けられている。売上高は2019年度に5041億円。「ヘルスケア&マテリアルズソリューション全体の約半分、富士フイルムグループ全体では22%を占める」(富士フイルムホールディングス 取締役 兼 富士フイルム 取締役専務執行役員 メディカルシステム事業部長 兼 富士フイルムヘルスケア 代表取締役会長の後藤禎一氏)という。

富士フイルムホールディングス 取締役 兼 富士フイルム 取締役専務執行役員 メディカルシステム事業部長 兼 富士フイルムヘルスケア 代表取締役会長の後藤禎一氏(出所:富士フイルム、以下同)

 今回の富士フイルムヘルスケアのグループ会社化に対して後藤氏は、「製品ラインアップの拡充」「富士フイルムの画像処理技術やAI技術を富士フイルムヘルスケアの製品に搭載」「販売力の強化」という3つのシナジーの創出を期待する。これらのシナジーによって、事業成長をさらに加速していく考えを示す。

 具体的には、事業のポートフォリオに新たにCT・MRIなどの大型診断機器が追加される。同時に、医療ITや超音波、X線診断システムにおいても製品ラインアップが拡充される。「富士フイルムと富士フイルムヘルスケアの製品ポートフォリオは重複が少なく、製品や技術の補完性が非常に高い」(後藤氏)。

 近年は、幅広い製品ラインアップを組み合わせ、病院経営に直結する提案が世界中で求められている。富士フイルムグループとして「ワンストップでのソリューション提案が可能になり、病院への提案力が飛躍的に向上した」と後藤氏は自信を見せる。加えて、富士フイルムグループはこれまで世界シェアNo.1のPACS(医療用画像管理システム)をプラットフォームに、画像処理技術やソフトウエア、AI技術を活用したソリューション開発を展開してきた。これらに幅広い製品ラインアップを組み合わせることで「これまでにない付加価値の創出を実現していく」とし、後藤氏は「ここが今回の最重要ポイント」と強調した。

 製品ラインアップ拡充による新規ビジネスの一例として、新興国での健診ビジネスを挙げる。第1弾として、AIを活用した健診センター「NURA」を2021年2月にインド・バンガロールで開設しており、今後も「健診の普及が必要な新興国において、ビジネスを拡大していく」(後藤氏)考えだ(関連記事:がん検診を中心とした健診センターをインドに開設、富士フイルム)。

 中期重要施策については、「AI技術を活用した製品開発の加速、AI・ITソリューションビジネスの収益を拡大」「顧客基盤・販売チャネルを活かしたグローバル拡販」「IVD事業の海外ビジネス拡大」「内視鏡事業における重要病院の攻略、外科用処置具・デジタル手術支援ソリューションを活かした手術室ビジネスの拡大」「新型コロナウイルスなど感染症拡大防止に寄与する製品の展開」を挙げる。また、中長期成長目標について後藤氏は、2020年代半ばに「売上高7000億円規模、ヘルスケア領域全体では1兆円規模」を目指すと宣言した。