時速7km以上ならば、ランニングよりもウォーキングの方がエネルギーを消費する──そんな検証結果が明らかになった。加えて、こうした速いウォーキング(速歩、ファストウォーキング)はランニングよりも足裏への衝撃は少なく、ケガや貧血といったリスクは抑えられるという。同研究はアシックスジャパンと包括的連携交流協定を結ぶ立命館大学のスポーツ健康科学部 スポーツ健康科学科で教授を務める後藤一成氏が行ったもので、アシックスジャパンの発表会にて紹介された。

発表会に登壇した立命館大学 スポーツ健康科学部 スポーツ健康科学科 教授の後藤一成氏(写真:アシックスジャパン)

 ランニングは比較的手軽に始めやすいうえに、エネルギー消費量が多く脂肪分解・燃焼が亢進するため、ダイエットなどの手段として取り組む人が多いスポーツだ。ただし、蹴り出し時には体重の2倍以上の力が加わるなど衝撃が大きくケガのリスクは高い。また近年では、1カ月に200~400km以上といったランニング練習をこなすランナーにとって貧血などのリスクを高める一因になると指摘されている。これは、ランニングでの足裏への衝撃によって赤血球が破壊され血中鉄濃度が急増する結果、肝臓から鉄代謝調整ホルモンであるヘプシジンが放出されて食事からの鉄の吸収を抑制し、鉄欠乏状態が生じやすくなるからだ。

 そこで後藤氏らはランニングに代わる手軽な運動手段としてファストウォーキングの効果を検証した。その結果、時速7kmあたりを境にそれ以上の速度では、同一速度でのランニングよりもファストウォーキングの方がエネルギー消費量が多いことが明らかになったとする。例えば時速8kmのファストウォーキングは時速約9.3kmのランニングのエネルギー消費量と同等になる。

20歳代の男性18人、女性18人を対象に、時速3km以上~追随可能な最高速度までのウォーキングと、時速5km~ウォーキング条件を上回る速度のランニングを行い、酸素摂取量やに参加炭素排出量などからエネルギー消費量を計測した(画像:立命館大学 後藤一成氏)

 一方、足裏への衝撃(鉛直方向の地面反力)が、ランニングの場合は最大で体重の2.2倍だったのに対してファストウォーキングの場合は最大で体重の1.5倍になるなど、同速度であればファストウォーキングの方が衝撃は小さいことが確認できたという。そのため、鉄欠乏状態やケガなどのリスクは抑えられるとする。

 大腿直筋や大殿筋といった太ももや臀部の筋肉の活動はランニングもファストウォーキングも同等程度であり、すねの前脛骨筋やふくらはぎのヒラメ筋など、ひざ下の筋肉についてはファストウォーキングの方が活動が活発になったという。また、ファストウォーキング中は高強度の運動と同様に筋中の糖質が消費され、運動後の活動では脂肪が分解消費されるのでダイエットにも向くとする。