「蓄積してきた脳科学研究の成果を社会に還元したい」

 CogSmartの母体となった東北大学加齢医学研究所は、日本を代表する加齢医学の研究拠点として知られる。所長を務める川島隆太教授は任天堂の『脳を鍛える大人のトレーニング』の監修者であり、その名を耳にしたことのある人も多いだろう。

 同研究所とフィリップス・ジャパンは2009年のMRI導入を機に交流を深め、同年からfMRI(脳機能イメージング)を軸に共同研究がスタート。2019年よりMR画像を活用した認知症検診ビジネスの協業を進め、その成果がBrainSuiteの販売へと結実した。

 CogSmartの瀧氏は、東北大学加齢医学研究所教授であると同時に現役の医師でもある。瀧氏は、都内で開催された記者発表会で「蓄積してきた脳科学研究の成果を社会に還元したいとの思いからCogSmartを立ち上げた。ミッションは認知症にならない『生涯健康脳』の実現、持続的な『0次予防』の達成」と説明した。

 日本における認知症患者数はすでに500万人を突破し、医療費、介護費、インフォーマルケアコスト(家族の無償介護や介護による労働時間損失を金銭換算したコスト)を足した社会的コストを考えると1年間に10数兆円の損失が出ていると指摘。「この課題を解決することで、持続可能性の高い日本の医療を維持できる」(瀧氏)とした。

 フィリップス・ジャパンでは販売にとどまらず、マーケティング、プロモーションを含めてBrainSuiteを全面的にサポートする予定。また、今後のヘルスケアIT戦略では画像診断領域のワークフロー全般にAIを適用することを発表。コロナ禍の影響で遠隔画像診断のニーズが高まる中、自動化・クラウド化とあわせて画像診断ワークフローの生産性向上を支援するとした。

画像診断領域のIT戦略について説明したフィリップス・ジャパン プレシジョン・ダイアグノシス事業部 事業部長 門原寛氏

(タイトル部のImage:小口 正貴)