カギを握る「アノテーションツール」

 起点は、AI開発のプロセスで特に重要な「アノテーション」のツールを双方で共同開発したこと。それを汎用化したのが、今回のプラットフォームである。

 画像診断であれば、画像のどこに腫瘍があるか「正解」を付与していくプロセスがアノテーションだ。臨床医が病気に関する理解に基づいて、陰影などに対して臨床的な判断を下す。国立がん研究センター医療AI研究分野の小林和馬氏は、「医療データをAI開発に活用するためいくつもの課題解決が必要だが、共同研究の成果として特に重要なのがアノテーションツール。AI開発にとっては正しいアノテーションが行われているのが大切」と話す。

 臨床医がアノテーションの作業を効率的に行えるシステムとして、アノテーションのツールを作り上げた。富士フイルムと同研究センター中央病院放射線腫瘍科が共同で開発したのが肺がんを自動判別できるAIソフトウエアを構築できる仕組みだ。胸部の画像データを基に臨床医が自らアノテーションを行い、その結果に基づいて機械学習のアルゴリズムが作られる。陰影が肺に認められた場合、病変か否か、病変の種類などの多様な臨床情報を反映させAIの精度を高める。

 同科の三宅基隆氏は、「なじみのあるビューアで直感的にアノテーションができるので、周辺の臨床情報も含めてアノテーションできる仕組みが提供されている。さらに、複数人でのアノテーションを効率的に管理できて、アノテーションの質を担保できる。学習したAIモデルによる推論結果は直ちに確認可能で最適な学習条件を効率的に探索できる」と評価する。

 対応するプロセスは、正しい病変の位置情報を付与するアノテーションばかりではなく、画像やデータの移送、匿名化、学習管理、AI処理の実行、ユーザー間での開発AIエンジンの共有まで、一貫した対応を実現した。医療画像で標準的に用いられているDICOM画像のほか、電子カルテや臨床システムのデータを取り込み可能だ。