オムロンと大阪府は、高齢者の自立支援、介護予防・重度化防止に関する取り組みの推進を目的とした事業連携協定を、2022年4月25日に締結した。連携事項としては「ICTを活用した自立支援型の介護予防ケアマネジメントにおけるアセスメント等の推進及びシステム開発・運用」「大阪府内市町村におけるICTを活用した介護予防ケアマネジメントの効果検証・データ活用」などを予定しており、2022年4月からのスタートとなる。

 この締結を受け、オムロンはメディア向けのオンライン説明会を実施。自社の自立支援事業の進捗状況や、今回の事業連携協定を踏まえた大阪府での実施内容などについて語った。

 次の10年に向けてオムロンは、「人が活きるオートメーションでソーシャルニーズを創造し続ける」を掲げた新しい長期ビジョン「Shaping the Future 2030(SF2030)」を、2022年4月からスタート。これからの10年は多様な社会的課題の噴出が予想されることから、オムロンは「社会インパクトが大きく、自社の強みを活かせる」(同社 イノベーション推進本部 自立支援事業推進部長の金岡秀信氏)という観点で3つの社会的課題を設定した。

 第1は、地球温暖化問題を踏まえた「カーボンニュートラルの実現」。第2は、デジタル化が進むなか、年齢や貧富の差に関わらず必要な情報を必要な人が得られる「デジタル化社会の実現」である。そして第3は、高齢化が進む社会における「健康寿命の延伸」。今回の大阪府との取り組みは「まさに健康寿命の延伸に直結するものである」と金岡氏は強調する。

オムロン イノベーション推進本部 自立支援事業推進部長の金岡秀信氏
オムロン イノベーション推進本部 自立支援事業推進部長の金岡秀信氏
[画像のクリックで別ページへ]

 健康寿命の延伸を実現するにあたり、オムロンが高齢者の自立支援や介護予防などに取り組む理由には、例えば、団塊の世代がこれから後期高齢者になることによる「要介護認定者の増加」や「社会保障費の増加」といったマクロな問題が挙げられる。一方で、オムロンが最も深刻な問題と捉えているのが、介護の需要が増加するなかで供給側が追いつかない状況にある「人材不足のさらなる深刻化」である。この問題に対してオムロン イノベーション推進本部 自立支援事業推進部 プロジェクトリーダーの加藤雄樹氏は、高齢者の自立支援や介護予防を「1つの解決の切り口として捉えている」と説明する。

 加藤氏によれば、介護が必要な原因を深掘りすると、要支援1と2の約半数程度は「生活不活発が心身機能等の低下の要因になっている」そうだ。これに加えて、生活不活発な人たちというのは「適切な介入によって改善できる可能性が高い」ことも学術的にわかっているという。

 そのような背景から、オムロンは適切なサービスを利用してもらうための取り組みを検討。具体的には、高齢者の状態像をアセスメントで見極め、それを踏まえて自立支援の視点に立った改善見込みの判断やサービス選定を進めている。しかし、こういった取り組みの実現には「現場に大きな負担がかかる」や「高い専門性が求められる」という課題もある。これに対してオムロンは、人手不足も加速するなかで「単に生産性だけを向上させるのではなく、エキスパートのノウハウを形式知化してICTで実装していく」(加藤氏)というアプローチを考えている。

オムロン イノベーション推進本部 自立支援事業推進部 プロジェクトリーダーの加藤雄樹氏
オムロン イノベーション推進本部 自立支援事業推進部 プロジェクトリーダーの加藤雄樹氏
[画像のクリックで別ページへ]

 ただし、介護の現場は「人同士のコミュニケーション」あるいは「人でしかできないこと」が数多く残る領域でもある。そこでオムロンは、そのままICTを導入するのではなく、専門職による人的なアドバイスや伴走型の支援も組み合わせながら「“人が活きるオートメーション”を介護の分野でチャレンジしていく」と加藤氏は付け加えた。