グルコースと間違って細胞内に導くような仕組み

 グルコースの他にも、脳の細胞に飲み込まれる物質が存在している。それはウイルス。ウイルスは細胞から出る受容体を認識し、この受容体に結合。これをきっかけに細胞自身がウイルスを取り込んで、脳の内部へとウイルスを運んでいる。脳の健康にとっては好ましいことではないが、実際に血液脳関門を突破する仕組みの一つとなる。

 これまでに研究グループは、こうしたグルコースが細胞に取り込まれる仕組みとウイルスが取り込まれる仕組みに着目して、人工的な「ナノマシン」を作り上げることに成功した。その仕組みは、ブロックの「レゴ」のように球形の分子のカプセルを作り出すというもの。棒状のレゴ分子がまとまって、ボールのように内部に空間を持った球になる(図2)。

<b>図2●レゴ分子の自動会合による「ナノマシン」の構築</b>
図2●レゴ分子の自動会合による「ナノマシン」の構築
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 しかも研究グループは、この外側にグルコースを結合させて、C1、C3、C4が飛び出す形にした。レゴブロックとは使われていないC6でつながっている。この仕組みによって、細胞がレゴ分子の球をグルコースと間違って細胞内に導くような仕組みとしたのである。

 研究グループは動物実験で本当にこのレゴボールが脳内に取り込まれるかを検証。グルコースと同じようにレゴボールが脳内に取り込まれることを確認した。ここまでの成果は、安楽氏らが2017年に『Nature Communication』に発表している2)