岡山大学の研究グループは2019年5月31日、東京・品川で開催された日本消化器内視鏡学会総会で、内視鏡画像をもとに早期胃がんの治療方針を決定するためのAI診断支援システムについて発表した。早期胃がん治療の基本はがん病変の除去だが、がん病変が胃内でどこまで広がったかによって、内視鏡による切除か外科手術による切除かを選ぶ必要がある。この判断をAIによって支援し、患者の負担を減らすのが開発の狙いだ。

日本消化器内視鏡学会総会で発表した(写真:Beyond Health、以下同)

 日本におけるがん死亡の中で、胃がんは肺がん、大腸がんに次いで第3位を占める(厚生労働省 人口動態統計2017年度)。しかし、発症初期の段階で早期発見すれば、5年生存率は95%以上と高い。

 胃がんの多くは胃内部表面の胃粘膜に発生し、しだいに胃壁深くに広がっていく。もし病変が粘膜内にとどまっていれば、内視鏡で病変を含む粘膜をはがす「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」で治療することができる。しかし、病変が拡大し、さらに胃壁深くまで到達していれば、外科手術を選択する必要がある。

 こうした治療法の選択については、胃がん治療ガイドラインなどに判断の目安が示されており、病変のサイズや炎症の有無、内視鏡を使って採取した組織の細胞の状態などで判断される。しかし、実際の診療では医師の経験の違いなどによって診断の正確さに差があるのが実情だ。

 もし、最初から外科手術を行うべき患者に対して、内視鏡治療で十分と判断してしまうと、内視鏡治療を行った上に外科手術を行うことになる。逆に、内視鏡治療で十分なのに外科手術を行う必要があると判断すると、必要のない外科手術を受けることになる。いずれの場合も、患者の心身に余分な負担をかけ、医療コストも増加してしまう。

 そこで、岡山大学大学院実践地域内視鏡学教授の河原祥朗氏らの研究グループは、AIによる内視鏡画像の診断支援システムを開発し、その診断精度を検証した。