武田薬品工業が湘南研究所を開放し2018年4月に設立された産官学連携の場である「湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)」。その開所1周年記念フォーラムが2019年5月15日、同所で開催された。

武田薬品工業の長谷川氏(写真:Beyond Healthが撮影、以下同)

 基調講演には、武田薬品工業前社長で相談役の長谷川閑史氏が登壇した。同氏は湘南研究所開設を主導し、後に「イノベーションエコシステムを作り替える」(同氏)との考えの下、湘南アイパーク構想に携わった。

 かつては製薬企業の研究所から生み出されていた医薬品が、昨今は6割程がアカデミアとバイオテックが創り出していると長谷川氏は指摘する。さらに、その場が米国や欧州の「ホットスポット」と呼ばれるイノベーションハブに移っているという。

 こうした背景を受け、長谷川氏は湘南アイパークに新たな「ホットスポット」としての期待を寄せる。「世界有数のスタートアップエコシステムのホットスポットとして名乗りを上げ、Early Win(早期の成功)を生み出してほしい」(同氏)。スタートアップに必要なすべてをワンストップソリューションとして提供することで、「まずはアジア周辺国から、いずれは世界中から有能な人材を惹きつけるような魅力あるエコシステムを創出してほしい」(同氏)と語った。

4つの新施策を明らかに

 同フォーラムでは、湘南ヘルスイノベーションパーク ジェネラルマネージャーの藤本利夫氏が、新たな施策を明らかにした。「2019年度は4本の矢でビジネスを展開していく」(同氏)。

新たな施策を説明する藤本氏

 4本の矢とは、(1)テナントリース、(2)メンバーシップ、(3)ソリューション、(4)インキュベーション、である。(1)は、テナント施設の賃貸・各種サービスのさらなる充実を指す。

 (2)のメンバーシップは、エコシステムの支援メンバーを外部から募り、外部へエコシステムを拡大していこうという施策だ。具体的には、外部の社内起業家などを対象とし、テナント入居しなくても年間200万円のメンバーシップフィーで、湘南アイパークの施設利用やサービスを受けられる制度だという。「入居に依存した湘南アイパークのビジネスモデルを大きく変え、エコシステムを拡大していく重要な柱となる」(藤本氏)。

 (3)のソリューションは社会課題を企業間連携で解決するためのビジネスモデルを短期間で作り上げる「湘南会議」の開催。未病をテーマにした2018年度の湘南会議第1期に続き、今年度は認知症をテーマに企画している。

(4)のインキュベーションは、「アカデミアや企業に埋もれている早期シーズを育て、研究成果を事業に生かせない状況、『死の谷』を越えるようなインキュベーションビジネスを立ち上げる」(藤本氏)と説明した。

(タイトル部のImage:剣持 悠大)