「治療用アプリ」が、国内で2020年春にも禁煙外来で処方されることになりそうだ。キュア・アップは2019年5月30日に開催した記者会見で、ニコチン依存症に向けた治療用アプリに関する治験で有効性が認められたと発表。プログラム医療機器として医薬品医療機器総合機構(PMDA)に承認申請を行ったことを明らかにした(関連記事)

治験が完了し、申請の段階へ(図:キュア・アップの発表資料を基にBeyond Healthが作成)

キュア・アップの佐竹氏(写真:加藤 康、以下同)

 既に申請は完了しており、申請内容についてレビューを受けている段階だとキュア・アップ 代表取締役社長の佐竹晃太氏は言う。「年内に医療機器承認を受けられるよう務め、2020年春の診療報酬改定で保険適用を目指す」(同氏)としている。

心理的依存の解消を狙う

 慶応義塾大学医学部と共同で開発したアプリである。ニコチン依存症と診断された患者に処方し、従来の禁煙外来での治療と並行して用いる。

 患者が自宅などで喫煙状態や喫煙したい欲求の程度、服薬状況などをアプリに入力すると、その情報に応じて医学的なエビデンスに基づいた治療ガイダンスがリアルタイムに自動で提示される。例えば、「どのくらい吸いたいですか?」という問いに、吸いたい・とても吸いたいと答えると、「どうして吸いたくなったのですか?」と理由を質問されたり、あるいは「つらいですね」と共感メッセージが表示されたりする。

 呼気中の一酸化炭素(CO)濃度を測定する携帯型の専用デバイスも同時に用いる。患者自身が定期的に測定したCO濃度が治療ガイダンスに反映され、禁煙外来の診療時の補助としても活用される。

記者会見の様子

 ニコチン依存は、身体的依存と心理的依存によって引き起こされる。身体的依存は禁煙補助薬が有効に作用するが、心理的な依存に関しては薬が効かないという。今回のアプリは、ニコチンの心理的依存の解消を目的に対面診療の空白期間をフォローし、行動変容を起こす視点で開発した。心理的依存への対処には、さまざまな行動変容理論の応用が必要になるとされ、「禁煙外来の短い診療時間では十分な介入ができない」(佐竹氏)ことが課題だった。

治験で確認した有効性とは…

 記者会見では、2017年10月~2018年12月に行った第三相臨床試験(治験)の結果を報告した。国内の31医療機関で584人を対象として、ランダム化比較試験を実施した。

 治療用アプリを用いた介入群と対照群に無作為に分け、24週間使用した比較試験である。対照群では治療用アプリの有効性を科学的に明らかにするため、治療効果の期待できないアプリを偽薬として用いた。両群とも禁煙外来の標準的な禁煙治療プログラム(12週間)と同時並行して行われ、禁煙治療プログラムにどの程度の上乗せ効果があるか検証した。

さいたま市立病院内科科長の舘野氏

 その結果、主要評価項目(9~24週の継続禁煙率)では、介入群が63.9%、対照群が50.5%となり、禁煙の継続率は介入群が有意に高いことが報告された。さいたま市立病院内科科長で慶応義塾大学病院禁煙外来の舘野博喜氏は、「上乗せの禁煙効果の13.4ポイントは、(禁煙補助薬の)バレニクリン維持療法にも匹敵、凌駕する」と評価する。また、治療用アプリの使用を止めた後の52週目まで追跡しても有意差は変わらず、「介入群の禁煙率が高く、効果が長続きすることが分かった」(同氏)とした。

(タイトル部のImage:加藤 康)