雑音が入り聞き取りづらい、年寄りくさい、人目が気になり外出が億劫になる──といった従来の補聴器のイメージを一変させる「多機能補聴器」が登場した。スターキージャパン(神奈川県横浜市、代表取締役社長:ポール・サイトウ氏)が6月5日に発表した新製品「Livio(リビオ) AI」だ。内蔵センサーと人工知能(AI)を搭載することにより良好な音質を確保するだけでなく、スマホとつなぐことで身体や脳の活動状態をトラッキングする機能や転倒検出通知、リアルタイムの翻訳機能も備える。

スターキージャパンの米国本社スターキー・ヒアリング・テクノロジー社長のブランドン・サワリッチ氏(写真:Beyond Healthが撮影、以下同)

 同社は、「内蔵型3DセンサーとAIを搭載した、世界初のHealthable(ヘルサブル:健康志向)補聴器」とうたう。難聴は認知機能や身体活動の低下、不安、ストレス、転倒・骨折リスク、社会的孤立など様々な健康問題に関連することが知られている。最近、身体活動や社会活動の低下が認知症の発症・増悪リスクと関連することも分かってきている。開発に当たっては、聞こえの向上だけでなく、ユーザーの健康増進への動機付けにつながるような補聴器を目指したという。

 Livio AIは、通常は人間の知能を必要とする作業を補聴器自体が実行できる、AIを含む新しいヒアリング・リアリティ・テクノロジーと呼ばれる新しいプラットフォームを採用。それにより健聴者の聞こえにできるだけ近い自然な音量感と音質、強力なハウリング抑制、騒音環境での背景雑音の大幅低減を可能にした。

 また、装着中の身体活動や会話の頻度、環境音などをセンサーにより感知・解析。専用のスマホアプリとBluetoothを介してつなげることで脳や身体の活動の多寡が「ブレインスコア」「ボディスコア」として表示される。心拍数も計測でき表示される。

Livio AI

 さらにユーザーが転倒した際にそれを素早く感知し、スマホから選択された連絡先に自動的に転倒通知を送信する機能を備える。27言語に対応したリアルタイム翻訳機能、文字起こし機能も搭載する。本体価格は63万円から。

 記者会見の場に、Livio AIブランド・アンバサダーとして出席した俳優の千葉真一氏は、「戦争映画撮影などで爆音などにさらされてきた職業柄、耳が聞こえにくくなり、これまで日本でたくさんの補聴器を探し使ってきた。今回、Livio AIのブランド・アンバサダーとして日本人で初めてLivio AIを体験し、クリアな音声にたいへん驚いた。これをしているだけで英語も通じてしまう。自分の人生、仕事のパートナーとしてこの新しい補聴器が生活をより豊かにしてくれることを期待している」と話した。

Livio AIブランド・アンバサダーとして出席した俳優の千葉真一氏

 スターキージャパンの米国本社スターキー・ヒアリング・テクノロジー社長のブランドン・サワリッチ氏は、「単一機能だったデバイスを、世界初のHealthable補聴器へ進化させた。聞こえを良くするだけでなく、より健康で充実した生活、ひいてはより高いQOLへの入り口となる」としている。

 スターキー・ヒアリング・テクノロジーズは、米ミネソタ州に本社を置く創業50年以上の老舗補聴器テクノロジー会社。総合的なデジタル補聴器システムの革新的なデザインや開発、販売を行っており、世界に6000人を超える従業員と25ヶ所余りの拠点を有し、世界各国に製品を供給している。日本法人であるスターキージャパンは、1992年に設立された。
 

(タイトル部のImage:Beyond Healthが撮影)