生地の曲げ伸ばしが電気に変わる理由は…

 PIECLEXが生地を伸縮することで電気エネルギーを発生させる圧電性を持つのは、実は、原料のポリ乳酸の特性によるものである。ポリ乳酸の材料は、ひずみや応力をかけることで材料自体が電気を発する性質があり、これを利用した。通常、圧電製品に多く使われるセラミックではなく、高分子のポリ乳酸を利用することで、「糸や生地といったフレキシブルな活用が可能になる」と竹下氏は説明する。

PIECLEXを使ったさまざまな製品

 これまで、村田製作所や帝人フロンティアでは、ポリ乳酸を応用したセンサー開発などを行ってきた。両者がタッグを組んだピエクレックスでは、センサーではなく、抗菌効果を発揮する素材として、ポリ乳酸の性能を最大限に生かせるような糸や生地の設計を検討し、このほど製品化の目途が立ったというわけだ。

 具体的には、1V前後の電圧が繊維から生じるため、近接している繊維と線維の間に存在する細菌に大きな電場がかかる。これによって、細胞膜に穴が開いたり、細胞が存在を維持するためのエネルギーを生み出せなくなったりし、細胞の死滅や増殖抑制につながる。ただし、人間の皮膚には影響がない程度の電気エネルギーだという。

 今後は、抗菌効果を高めるための検証や、細菌よりも小さなウイルスへの効果(抗ウイルス性)の検証も行っていきたいとしている。