食事の量が増えた、寝起きのタイミングが良くなった――。こうした直接的な容体の変化として捉えられない情報は、限られた在宅訪問ではカバーするのが難しい。

IIJの喜多氏(写真:加藤 康、以下同)

 インターネットイニシアティブ(IIJ)が2019年5月22に提供を開始した「ここのーと」は、そんなコミュニケーションを患者・家族と専門職の間でできるようにしたツールだ。在宅患者の暮らしにかかわる情報を専門職に直接フィードバックすることにより、きめ細かな在宅療養支援につなげる。

 「暮らしの変化を把握することが、いい治療につながると指摘する医師は多い」。IIJ 地域システム推進本部 ヘルスケア事業推進部長の喜多剛志氏は、こう語る。

診療報酬の評価も

 ここのーとは、患者や家族がスマートフォンなどを用いて、主治医もしくは在宅ケアチーム全員と在宅での生活状況や相談事をSNS形式でやり取りする。主治医を指定して個別に相談する「先生とのやりとり」と、ケアチーム全員に日々の暮らしの変化を伝える「みんなにつぶやく」の2通りのコミュニケーション方法がある。

ここのーとのデモ画面

 この機能は、同社が既に提供している在宅医療向け多職種情報共有プラットフォーム「IIJ電子@連絡帳サービス」に追加したもの。IIJ電子@連絡帳サービスを導入していることを前提に、利用料は1行政あたり月額5万円になるという。

 IIJ電子@連絡帳サービスは、2017年にIIJが医療情報にかかわるガイドラインに対応したクラウドサービスとして提供を始めた。以来、60行政・地域で採用され、そのうち5地域・39行政では行政区画をまたがる広域連携で運用されている。参加している職種は医師・看護師・薬剤師・ケアマネジャーなど30職種以上で、延べ1万2000人が利用。見守られている在宅患者は1万3000人を超えているという。

 IIJ電子@連絡帳サービスは、元々は名古屋大学医学部附属病院 先端医療開発部先端医療・臨床研究支援センターが開発した「電子@連絡帳」をベースにクラウド化したもの。電子@連絡帳には、今回のここのーとと同様の機能である「支援手帳」と呼ばれるツールが実装されている。現在も支援手帳を運用している愛知県下の自治体では、「電話等による再診」の扱いで診療報酬の算定を行っている。「(同様に要件を満たしている)ここのーとも、診療報酬の評価をできるようにしていく」とIIJの喜多氏は話している。

(タイトル部のImage:加藤 康)