早期診断、低侵襲治療などへのニーズの高まりで需要が伸びている内視鏡。富士フイルムはその新たな事業戦略を、2019年5月末に開催した記者会見で明らかにした。

 新戦略は大きく2つ。(1)人工知能(AI)やIoT(Internet of Things)技術を用いて生産効率を高める「スマート工場」の建設、(2)硬性内視鏡や処置具事業への参入、である。これらにより、「メディカルシステム事業の主力分野であるX線機器を上回る規模に育てたい」(富士フイルム 取締役常務執行役員・メディカルシステム事業部長の後藤禎一氏)と意気込む。

取締役常務執行役員の後藤氏(写真:Beyond Healthが撮影、以下同)

これが富士フイルムの内視鏡用スマート工場

 (1)のスマート工場は、同社の内視鏡製品の生産拠点である富士フイルムテクノプロダクツ 佐野工場(栃木県佐野市)内に40億円を投じて建設する(外観のイメージはタイトル部の画像参照)。2019年6月に竣工、同年9月に本格稼働させる予定である。内視鏡システム「LASEREO」(レザリオ)や「6000システム」に対応した内視鏡スコープを生産する。

 工場内の人やモノの動き、設備状態などをIoTプラットフォームで統合的に管理する。従来、システムで管理していた作業工数や製造・検査の記録、部品在庫などのデータに加え、工場内の各所に配置したセンサーで取得した設備の稼動状況や作業員の動線などの情報を統合。可視化・分析・改善を進めることで生産性向上を目指す。こりにより、「生産能力を2倍、生産性を30%向上させる」(富士フイルム メディカルシステム事業部 内視鏡システム部長の永田敬一氏)。

 新工場で生産する内視鏡スコープは、患者の体内に挿入して検査・治療を行うという特性上、製造には微細で高精度の加工技術が求められる。組み立て工程では顕微鏡下で行う作業も多く、熟練者の技術や経験に頼る傾向が強かった。スマート工場では、熟練者が目視で行っている内視鏡映像検査などにAIを活用することで、検査工程を自動化して工数を削減する。

 熟練者の作業映像に、センサーで得られた補助情報を重ね合わせてスマートグラスに映すなどして作業を支援する。熟練者の作業映像は、作業者の教育にも生かすという。