GEヘルスケア・ジャパンは、「聴診器」のように持ち運べるポケットサイズの高性能超音波診断装置「Vscan Air」を発表した。2021年7月初旬から受注を開始し、価格は87万7800円(税込)。同年6月に開催した記者発表会では、新製品の説明や医師による講演、タレントの堀ちえみさんを招いたパネルディスカッションなどが実施された*)

*)本記事では新製品の概要を中心にお伝えする。医師による講演などは第2弾記事で紹介予定。

初登場から10年超、「プラットフォーム」が進化

 「Vscan」が、日本で発売開始されたのは2010年。2014年にはプローブの持ち替えが不要なデュアルプローブを採用した「Vscan Dual Probe」、2017年にはタッチスクリーンとAndroid OSを採用した「Vscan Extend」へと進化し、日本国内ではシリーズ全体で累計8000台が販売された。

 そして今回登場した新モデルは、ハードウエアとソフトウエアに加えて「プラットフォーム」も進化させた。従来のモデルと異なり、操作や画像表示には専用アプリをダウンロードしたスマートフォンやタブレット端末を使用する点が大きな特徴の1つ。モバイル端末のプラットフォームを活用することによって「これまでになかったような広がりが期待される」と、GEヘルスケア・ジャパン 代表取締役社長兼CEOの多田荘一郎氏は胸を張る。

GEヘルスケア・ジャパン 代表取締役社長兼CEOの多田荘一郎氏(写真:近藤 寿成)
GEヘルスケア・ジャパン 代表取締役社長兼CEOの多田荘一郎氏(写真:近藤 寿成)
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 GEヘルスケア・ジャパンは近年、一人ひとりにあった質の高い医療を効率的に提供する「プレシジョン・ヘルス」を企業方針の1つに掲げている。Vscan Airは「このプレシジョン・ヘルスの思いを体現した製品だ」と多田氏は位置付けた。

Vscan Airの革新性は3点

 続いて、GEヘルスケア・ジャパン 超音波本部 Primary Care部 部長の阿木宣親氏が、Vscan Airの詳細を説明した。同氏は、Vscan Airの革新性として「連携」「拡張」そして「想いのままに」という3点を挙げる。

Vscan Airのイメージ
Vscan Airのイメージ
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 「連携」については、例えば専用アプリをダウンロードして使用することから、医療従事者同士はリアルタイムな画像共有を通じてスムーズな連携が可能になる。しかも、普段から使用しているスマートフォンを使うのであれば、「操作に迷う心配もない」(阿木氏)というメリットも生まれる。具体的な利用シーンとしては、「エコーの初学者が専門医と検査画像を共有し、リアルタイムに意見を聞きながら検査する」(阿木氏)といったケースを想定する。

 「拡張」では、例えばアプリ内に保存された患者の画像データは機微情報となるため、患者情報へのアクセスには専用アプリのPINコード設定や、モバイル端末の指紋認証や顔認証といった生体認証が利用できる。このように、民生品であるモバイル端末の機能を活用できる点が「Vscan Airのような医療機器の機能拡張につながる」(阿木氏)。さらに、スマートフォンは周辺機器が非常に充実していることから、それら周辺機器へのアクセスが可能になることも「大きな拡張の1つになる」と阿木氏は提案する。また、アプリ化によって「プローブ本体を買い替えなくても、将来的な機能拡張に対応できる」こともメリットして紹介した。

 「想いのままに」については、モバイル端末がiOSとAndroidの両方で使用でき、5~20インチの表示スクリーンや無線充電(Qi)などにも対応することに触れ、医師が「好みのモバイル端末で利用できる」ことを説明した。

機能性の特徴は4つ

 この3つの革新性に加えて、阿木氏はVscan Airの優れた機能性として「ポケットサイズ」「高画質」「堅牢性」「ワイヤレス」の4つを挙げた。

GEヘルスケア・ジャパン 超音波本部 Primary Care部 部長の阿木宣親氏
GEヘルスケア・ジャパン 超音波本部 Primary Care部 部長の阿木宣親氏
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 「ポケットサイズ」について、Vscan Airの本体サイズは高さ131mm×幅64mm×奥行31mm、重さは205gとなる。スマートフォンと同程度となっており、まさに「白衣のポケットにもすっぽり収まるサイズ感」は注目だ。さらに、これまでの製品と違ってスマートフォンやタブレット端末がモニターになることから、「別途でモニターを持ち運ぶ必要がない」(阿木氏)というモビリティの高さも見逃せない。

 「高画質」では、GE独自の「Signal Maxテクノロジー」と据え置き型エコー装置と同等の「128ch駆動」によって画質が大幅に向上。さらに、深部用コンベックスと浅部用リアの「Dual Probe」を搭載することで、さまざまな部位を素早く明瞭にスキャンできる。これにより、小型な装置でありながら「据え置き型と同レベルの画質を実現した」と阿木氏は胸を張る。

 「堅牢性」では、「IP67」の防水防塵規格に対応するだけでなく、米国国防総省制定規格「MIL-STD-810G」に準拠した1m22cmの落下試験にもクリア。さらに、3年間の保証期間によって「安心かつアクティブに使用できる」ことを踏まえ、阿木氏は「アクティブに使えるからこそエコー検査が患者に近づき、医療が患者に近づく」とそのメリットを強調した。

 「ワイヤレス」では、Vscan Airとモバイル端末の接続がWi-FiとBluetoothによる完全ワイヤレス方式であることを紹介。充電もワイヤレスであることから、ケーブルを挿すわずらわしさやケーブルが劣化する不安から「完全に解放される」(阿木氏)こととなる。

 これらの革新性や機能性から、Vscan Airを医療従事者に活用してもらうことで、疾病の早期発見や正確な診断、(医療従事者も含めた)安心できる医療提供などが可能になる。最後に阿木氏は、「聴診器」のように手軽に持ち運べるVscan Airを「想いのままに活用してほしい」と付け加えた。

(タイトル部のImage:近藤 寿成)