デジタルヘルス(ヘルスケア×IT)分野に特化したスタートアップ総合支援プログラム「TECH FOR LIFE」。ファイザー、帝人ファーマ、新生キャピタルパートナーズなどがスポンサーとなり、2019年3月から継続的なサポートを開始した。

 2019年5月24日に開かれた「TECH FOR LIFE CHALLENGE DAY」では、健康・医療の社会課題の共有をテーマに各プレーヤーが講演し、最後に関係者が集ってのパネルディスカッションが行われた。このパネルの様子を、各人の発言をベースに紹介する。モデレーターはINDEE Japan 代表取締役 マネージングディレクターの津嶋辰郎氏が担当した(以降の質問部は津嶋氏によるもの)。登壇者は以下の通りである。

・早稲田大学ビジネススクール准教授 樋原伸彦氏
・筑波大学 脳神経外科 准教授 鶴嶋英夫氏
・新生キャピタルパートナーズ パートナー 栗原哲也氏
・帝人ファーマ 医薬研究企画部 兼 医薬事業開発部 八十木康仁氏

パネルディスカッションの様子(写真:小口 正貴、以下同)

日本は「小さくまとまる傾向がある」

今日はCHALLENGE DAYの位置付けで、デジタルヘルス業界を取り巻く課題を共有する機会。まずはビジネス的な視点から、樋原氏が考えるスタートアップの現状をお聞きしたい。

樋原氏 日本の場合、取り扱う金額が小さい。統計の数字を見ても、その事実は裏付けられている。米国を見てみると2018年にはベンチャーキャピタル(以下VC)の投資金額が10兆円を超えた。中国もここ数年凄まじい伸びを示している。だが日本は2000億円ほど。その差はかなり歴然としている。

早稲田大学ビジネススクール 樋原伸彦氏

 VCも大企業もスタートアップも小さくまとまる傾向がある。今日の講演にもあったが、寄付の金額が非常に安いのも問題だ。例えば米スタンフォード大学だと日本の100倍ぐらいの規模がある。

 スタートアップのエンジニア不足も盛んに取りざたされるが、これは結局、能力に見合った賃金を払えないから起きること。大企業から転職したくて仕方がない人がいるのに、頑張っても大企業の賃金の8割ほどしか払えない。ぜひ、世界レベルのマーケットを狙う“覚悟”が資金提供者にも、スタートアップにもほしいところだ。