幅広いプレーヤーとの共創による革新的なヘルスケアイノベーションを加速する――。その実現に向けた「場」と位置付ける拠点が始動した。フィリップス・ジャパンが宮城県仙台市に設立した「Philips Co-Creation Center」である。

 社内外の多様なパートナーとの「Co-Creation」を通じて、イノベーションの創出を目指す。フィリップス・ジャパン 代表取締役社長の堤浩幸氏は、2019年5月28日に開催されたオープニングセレモニーで、こう強調した。

「Philips Co-Creation Center」のコンセプトを説明するフィリップスの堤氏(写真:Beyond Healthが撮影、以下同)

 Philips Co-Creation Centerのコンセプトとして、フィリップスは大きく次の3つを挙げる。(1)異業種が集う「場」、(2)知を創りだす「場」、(3)技術を体感する「場」、である。

 (1)の異業種が集う場として、フィリップス社員だけでなく、連携するパートナーが業種を超えて立ち寄るスペースにする。これにより、新たなソリューションやサービスモデルの創出につながるコミュニケーションの活性化を図る。

「Philips Co-Creation Center」の俯瞰図

 (2)の知を創りだす場として、ワークショップ型のデザインシンキングを進める環境を導入する。例えば、AR/VRなどを活用して手術室や救急車などを可視化し、それらの変革に向けた議論の活性化を図る。さらに、3Dプリンターなど新たなアイデアを迅速に試作できる環境を整え、アジャイル型の開発を進める。

 (3)の技術を体感する場については、パートナーを含めた企業などの新規技術を導入。それらを体感するショースペースやトレーニングスペースを設ける。

 仙台にPhilips Co-Creation Centerを設立したのは、東北地方は高齢化による医療費の増大や医師不足など、医療をとりまく課題が多い地域のためだという。「イノベーションの発信に最も適したエリアだ」(堤氏)。

ヘルスケアモビリティのコンセプトモックアップも設置している

 フィリップスは先日、ソフトバンクとトヨタ自動車の共同出資会社であるMONET Technologiesと共同でヘルスケアモビリティのコンセプトモックアップを開発した(関連記事)。このモックアップも、今回の施設に設置し、様々な議論のキッカケにしていく考えである。

イメージガイド下治療に「HoloLens 2」活用、「SOSボタン」も披露

 オープニングセレモニーでは、新たな共創の具体事例も発表された。披露したのは、フィリップスが米Microsoft社と共同で開発した、MR(Mixed Reality)を活用する「イメージガイド下治療(Image Guided Therapy、以下IGT)」のコンセプトである。

フィリップスとの連携について説明するMicrosoft社 Director, Mixed Reality Product Marketing, Terry Farrell氏

 IGTは、大きな開腹などをせず、鉛筆の先ほどの穴を通して小さなデバイスを挿入し、その操作をナビゲートしていく低侵襲の治療方法。その際に、医師はX線画像をはじめとする医用画像を参照するため、常にモニターを見ており、複雑な治療ではスクリーンを切り替える必要があった。

 そこで活用するのが、Microsoft社のMRデバイス「HoloLens 2」。音声認識や視線追跡によって画面を表示できるようにすることで、医師の作業の効率化を狙う。結果として、治療時間を短縮できる可能性があり、患者の負荷低減につながると説明する。

MR(Mixed Reality)を活用したイメージガイド下治療のイメージ(出所:フィリップス、以下同)

 この他、2018年9月に発表した「Heart safe city」構想を本格始動することも明らかにした。Heart safe cityは、AEDの適正配置、ファーストレスポンダー(救急隊に引き継ぐまで適切に応急手当ができる救護者)の育成サポート、行政や自治体との体制づくり、などを推進していこうというもの。

近日発売予定のSOSボタン

 その一つとして、近日発売予定とする「SOSボタン」を披露した。無料スマートフォンアプリ「MySOS」と連動し、ボタン押下から10秒強で救援者への一斉通知を可能にするシステムだという。

(タイトル部のImage:Beyond Healthが撮影)