国立がん研究センター東病院は、リキッドバイオプシーによる個別化医療の実現を目指す新プロジェクト「CIRCULATE-Japan(サーキュレートジャパン)」を始動した。“見えないがん”を対象に、世界最大規模の医師主導国際共同臨床試験を実施する。2020年6月10日に開催した記者会見で明らかにした。

国立がん研究センター 築地キャンパスとオンラインで開催された記者会見の様子(写真:オンライン会見の画面キャプチャー)

 リキッドバイオプシーとは、血液などの体液を使って、患部から直接組織を採取する生検の代わりにがんを検出する技術。今回のプロジェクトで国際共同臨床試験を実施する対象は、根治的外科治療を予定しているステージⅡ~Ⅳの大腸がん(結腸・直腸がん)患者約2500人。国内と台湾の約150施設の協力のもとで実施する。

 国立がん研究センターでは、かねて個別化医療の実現を目指した研究を実施しており、2015年からはがんゲノムスクリーニング事業「SCRUM-Japan」に取り組んできた。切除困難な固形がんの患者を対象に遺伝子異常を調べるプロジェクトである。これまでに8つの新薬と9つの体外診断薬の薬事承認を取得している。

 今回のCIRCULATE-Japanも個別化医療の実現を目指しているが、その対象が異なる。SCRUM-Japanの対象は切除不能なステージⅣ期の固形がん、いわゆる“見えるがん”だ。これに対して、CIRCULATE-Japanは、根治的外科治療を受けた後に、患者の体内に残存している可能性がある“見えないがん”を対象にする。ただし、研究自体はSCRUM-Japanの基盤を活用して進めていくという。

国立がん研究センターが行うプロジェクトの全体像(出所:吉野孝之氏の発表資料)