デジタルヘルス(ヘルスケア×IT)分野に特化したスタートアップ総合支援プログラム「TECH FOR LIFE」の一環として、健康・医療の社会課題共有を目的に2019年5月末に開かれた「TECH FOR LIFE CHALLENGE DAY」。そのセッション1では、「医療従事者視点における健康・医療で分野の課題の共有」をテーマに、筑波大学 脳神経外科専門医 准教授 大学病院未来医工融合研究センター長の鶴嶋英夫氏が登壇。5つの問題点を指摘した。

「ドライビングシミュレーター」の事例に見る

 第1の問題点として挙げたのは、「研究資金」について。筑波大学がデータサイエンスプロジェクトの1つとして進めている「ドライビングシミュレーター」の事例を紹介し、資金調達の難しさを語った。

筑波大学 脳神経外科専門医 准教授 大学病院未来医工融合研究センター長 鶴嶋英夫氏(写真:近藤 寿成)

 近年、高齢化などに伴い、運転中の疾患発症などによる体調急変が原因で生じる「健康起因交通事故」が増加している。職業ドライバーであれば「てんかん」などは免許が取れない仕組みとなっているが、一般ドライバーも含めて、脳卒中や不整脈などが起きる可能性は排除できない。そこで脳神経外科専門医である鶴嶋氏は、「自分の患者のデータを収集すれば、この課題解決に活用できるのではないか」と考え、産業技術総合研究所とともに研究を始めた。

 ドライバーの体調急変を感知する技術を開発するためには、疾患発症時や発作時に関するデータが必要となる。鶴嶋氏は病院内にドライビングシミュレーターを持ち込み、対象患者(脳卒中、心疾患、てんかん)に運転してもらうことで生体・生理データ、運転操作データ、顔画像データなどを収集し、データベースを構築している。