個人の健康・医療データを意味するPHR(Personal Health Record)に注目が集まっている。2021年からはマイナポータルを通じて薬剤、医療費、特定健診情報など自己の医療データが閲覧可能となった。さらに、2022年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太の方針)ではPHR推進を明記。国家戦略としてPHR活用に取り組むことを明らかにした。

 一方、日常の健康データを含むPHRの活用には民間事業者の協力が欠かせない。そこで、官民一体となって推進することを目的とし、2022年6月16日に「PHRサービス事業協会(仮称)」の設立宣言発表会が都内で開催された。PHR事業者をはじめ、保険、IT、医療機器、通信、オンライン診療、製薬など全15社のさまざまな業種のプレイヤーが参加。日本を代表する大企業からベンチャーまで集結したのが特徴で、令和5年度早期の設立を目指す。以下が参加企業の一覧となる(五十音順)。

  • Welby(PHR)
  • エーザイ(製薬)
  • エムティーアイ(ヘルスケア)
  • オムロン/オムロン ヘルスケア(医療機器)
  • KDDI(通信)
  • 塩野義製薬(製薬)
  • シミックホールディングス(CRO:医薬品開発支援)
  • 住友生命保険(保険)
  • SOMPOホールディングス(保険)
  • TIS(IT)
  • テルモ(医療機器)
  • 日本電信電話(通信)
  • FiNC Technologies(ヘルスケア)
  • 富士通(IT)
  • MICIN(オンライン診療)

 発表会の冒頭、経済産業省 商務・サービス審議官の畠山陽二郎氏が挨拶。「PHR政策は、個人が健診やレセプトデータなどを自分の健康づくりに生かしていくための健康医療政策。同時に新しいヘルスケア産業を創出するための産業政策になる可能性を秘めている」と語った。

経済産業省 商務・サービス審議官 畠山陽二郎氏(写真:小口 正貴)
経済産業省 商務・サービス審議官 畠山陽二郎氏(写真:小口 正貴)
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 しかし、公的インフラが整備されても上層で魅力的な民間サービスが提供されなければ利用者不在の無駄な投資になってしまうと指摘。「利用者にとって魅力的なPHRサービスの創出に向けて、本日の設立者宣言で志を同じくした各社が業種の壁を超えて連携し、官民を超えた政策提案を行なっていくことが不可欠だ」と、団体設立の背景を説明した。その上で、厚生労働省、総務省、デジタル庁などの関係省庁と協力しながら、PHRサービスに関するデータ標準化や法整備を強力に推し進め、医療界やアカデミアなどを巻き込みながら全力で応援していく姿勢を示した。