サイキンソーは、腸内細菌叢のDNA解析を実施するための新拠点「サイキンソー新木場ラボ」を新設した。これにあわせて同社は、ラボ新設にともなう事業戦略発表会を開催した。

 前半は、サイキンソー 代表取締役 CEOの沢井悠氏が登壇。同社が注目する腸内細菌叢や事業の概要を紹介するとともに、事業成長に向けた新たな取り組みについて紹介した。

サイキンソー 代表取締役 CEOの沢井悠氏(写真:近藤 寿成、以下同)
サイキンソー 代表取締役 CEOの沢井悠氏(写真:近藤 寿成、以下同)
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 沢井氏によれば、人間の腸内には「腸内細菌叢」(=腸内フローラ)と呼ばれる細菌が約100兆個も棲みついているとのこと。さらにこの腸内細菌叢は、世界的な研究によって「さまざまな疾患や健康状態と関連がある」ことがわかってきたそうだ。例えば「腸や腎臓、免疫に関する疾患に加えて、循環器系や代謝系などの疾患にも影響がある」という。

 これに対して、「細菌叢で人々を健康に」を企業理念とするサイキンソーは、「菌叢データから“次世代のライフスタイル”を提案するプラットフォームになる」をビジョンに掲げ、さまざまな事業に取り組んでいる。この“次世代のライフスタイル”に関して沢井氏は、「細菌叢のビッグデータを活用し、パーソナラズ化された食習慣・生活習慣を提案してあらゆる疾病リスクを減らす。それが理想的なライフスタイルだ」と補足した。

 主な事業の1つとして挙げられるのが、国内初となる“16S次世代シーケンス法”をベースとした自宅でできる個人向けの次世代型腸内細菌叢検査「Mykinso(マイキンソー)」である。この検査では、個人の便に含まれる細菌を次世代シーケンスによってDNA解析し、腸内細菌の種類や割合を調査。さらに、その解析結果を独自のアルゴリズムによって数理処理することで、「疾患リスクや腸内環境の状態などをスコアリングし、そのレポートを提供する」(沢井氏)というサービスになる。

 Mykinsoは、すでに900件の医療機関に導入されているほか、パナソニックやシオノギヘルスケアなどの企業からのOEM受託などにも対応している。さらに、2大学・3社との共同研究で乳幼児向け(対象年齢0~5歳)の検査「Mykinsoキッズ」を商品化するなど、多くの大学や企業とのアライアンスも実施。このような取り組みにより、サイキンソーは累積で6万件の細菌叢データを蓄積し、ビッグデータや解析技術を活用した研究活動にも取り組んでいる。

 このような経緯を踏まえつつ、沢井氏は次の事業成長に向けた新たな取り組みとして2つのポイントを挙げた。

 1つは「細菌叢解析のキャパシティ増大」である。細菌叢の解析プロセスでは、検体を解析する「ウェットラボ(=実験室)」が不可欠な要素となっており、これまでは大阪大学との共同研究で運用してきた。そこで今回、サイキンソーはこのウェットラボのキャパシティ増大を目的として、新木場に自社の新しいラボを開設。これにより、1カ月当たりの処理能力は「従来の4000検体から1万検体に拡張する」(沢井氏)そうだ。

 もう1つは「パーソナライズ基盤の整備」を挙げ、具体的には新サービス「Mykinso Personal」をスタートさせる。現状では、検査の販売チャネルによって紙ベースのレポートが提供されるケースもあったが、Mykinso Personalの展開によって利用者は、販売チャネルなどに関わらず「自分の検査結果をオンラインで閲覧できるようになる」(沢井氏)。さらに、腸活や検査を継続的に実施するための情報も配信していく。さらに、健康診断などの幅広いデータと連携することで、「Mykinso Personalをハブとするデータ利活用構想」も見据える。

 事業戦略においてサイキンソーは、細菌叢を「“デバイスでは取れない”人体のインサイドデータ」と位置付け、このインサイドデータを個人の行動や習慣とともに観測・分析。これにより、パーソナライズされた予防・未病ソリューションの提供を目指す。重点分野には「免疫や循環器系、代謝系の疾患」を挙げ、最終的には6.3兆円規模のセルフヘルスケア市場を狙っていく考えだ。沢井氏は、将来的な事業展開を「細菌叢の検査サービス」→「“食”領域でのライフスタイル提案」→「医療分野での応用」という3段階で示し、「企業理念を実現するべく事業活動に取り組んでいく」とした。