デジタルヘルス(ヘルスケア×IT)分野に特化したスタートアップ総合支援プログラム「TECH FOR LIFE」の一環として、健康・医療の社会課題共有を目的に2019年5月末に開かれた「TECH FOR LIFE CHALLENGE DAY」。帝人ファーマ 医薬研究企画部 兼 医薬事業開発部の八十木康仁氏は、製薬企業の視点から現状と課題を語った。

体質改善がポイントに

 製薬企業を取り巻く環境は厳しさを増している。近年の医療費抑制の動きや大型新薬の減少などにより、医薬品市場の成長率は鈍化している。特に、日本は過去5年の成長率が約1%と言われており、「先進国の中では最低になる」と八十木氏は言う。

 こうした中、非医療ビジネスへの展開や新たなヘルスケア市場の開拓に向かう製薬企業が増えている。同時に、研究開発費の増大とともに既存製品との差異化が難しくなっていることから、業務効率化や開発期間の短縮、新たなサービスの提供による付加価値付け、新たな疾患や治療ニーズ、評価方法の探索などの動きも出てきている。

講演する八十木氏(写真:近藤 寿成)

 そこで、製薬企業は「デジタル化」(八十木氏)による新たなビジネスの構築に期待している。同時に、デジタル化に対する「危機感」(同氏)もあるという。技術進歩や拡散スピードの速さから、早期にデジタル化に取り組まないと「乗り遅れるかもしれない」(同氏)との危惧だ。この期待感と危機感が、製薬企業のデジタルヘルス分野への参入を後押ししている。

 ただし、製薬企業がデジタルヘルスに取り組むに当たっては、「製薬企業の体質」の改善が大きなポイントになると八十木氏は言う。伝統的な製薬会社は「課題解決型」や「完成品の提供」という考え方で発展してきたが、新しいデジタル型のビジネスでは「価値創造型」や「リーンスタートアップ」のビジネスモデルが必要となるからだ。