Apple Watchが機能を搭載したことにより、個人が心電図を計測する習慣は以前よりも身近になってきた。心拍数を継続的に記録して不規則な心拍リズムを発見するわけだが、その判断指標となるのが心房細動である。心房細動とは不整脈の1つであり、電気信号の乱れによって心臓内の心房が震え、全身にうまく血液を送り出せなくなる症状を指す。

 動悸、息切れ、めまい、疲れやすさなどを伴うが、無症状あるいは一時的な自覚が多く、放置されることも珍しくない。しかし心房細動は脳梗塞や心不全の原因となるため、早期に発見して適切な治療をすることが求められる。ほかの病気同様、早期の治療介入によって完治する可能性が高まるからだ。

 2022年6月22日、オムロン ヘルスケアは携帯型心電計「HCG-8060T」を発売した。日常生活の中で心電図を記録し、心房細動をはじめとする不整脈の早期発見と治療支援につなげるために開発した医療機器だ。縦30ミリ、横90ミリ、厚さ7.4ミリで、シャツのポケットにも簡単に入るサイズ。常に携帯して、不整脈や動悸などの自覚症状を感じたときにいつでも心電図を記録できる。

HCG-8060TでI誘導心電図を記録するイメージ(出所:オムロン ヘルスケア)
HCG-8060TでI誘導心電図を記録するイメージ(出所:オムロン ヘルスケア)
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 I誘導心電図と6誘導心電図の2種類を記録可能。I誘導の記録方法は両手人差し指と中指を表面左右の電極に触れるだけの簡単なものだ。6誘導の場合は電極に親指を当てながら左足の肌、あるいは膝上または足首の内側に裏面電極を密着させて記録する。どちらも記録時間は約30秒。この記録を医師が判読し、I誘導では心房細動、6誘導では心房細動とそれ以外の不整脈の確認が可能となる。

HCG-8060Tで6誘導心電図を記録するイメージ(写真:小口 正貴)
HCG-8060Tで6誘導心電図を記録するイメージ(写真:小口 正貴)
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 記録した心電図は同社のスマホアプリ「OMRON connect(オムロンコネクト)」と連動して閲覧する。アプリ上では心房細動の可能性、正常な洞調律(心拍)、徐脈(遅めの心拍)、頻脈(速めの心拍)などを含む6パターンの解析結果を確認でき、メールや紙への印刷によって医師との共有を図る。すなわち、医療におけるPHR(Personal Health Record)の利活用に役立てることができる。直販価格は税込み3万4800円。初年の発売目標は国内で3000台を目指す。