臨床現場の医師が事務作業などに追われてコア業務に注力できない――。自ら医師として働く中で感じたそんな課題を、テクノロジーで打破したいと創業したスタートアップのUbie。創業2カ月後に提供を開始したのが、外来初診の事前問診や診察業務を人工知能(AI)で効率化する「AI問診Ubie」である。

 提供を始めて約2年が経過し、大規模病院10件を含む100件を超える医療機関が導入したという。導入した医療機関では、「初診患者の1人当たりの問診時間が約65%削減され、年間の問診時間合計は1/3になり、約1000時間削減する成果が出ている」。同社 共同代表取締役で医師の阿部吉倫氏はそう話す。

Ubieの阿部氏(写真:Beyond Health、以下同)

空いた時は患者への説明に

 AI問診Ubieは、事前問診、診察室での口頭問診、電子カルテ記載までの診察ワークフロー全体を効率化できることが大きな特徴。従来の一般的な診察では、受付後にまず紙の問診票に手書きで基本的な症状や患者の背景情報を記入する。診察室では医師が問診票を参照しつつも、ほぼ同様の内容を口頭で問診することが多いという。

 同時に医師は聴取した内容や所見などを電子カルテに入力していく。「カルテ入力を対面診察中に終了することは難しく、患者が診察室を出た後も続けられる。それが次の患者の待ち時間を長くする一因にもなる」と阿部氏は指摘する。

 AI問診Ubieでは、事前問診をタブレット端末で行う。患者は入力した症状など1問ごとに自動生成された質問に回答していく。事前問診の結果は医師がカルテに記載する専門語に翻訳され、医師のパソコン上に出力される。電子カルテへは、その出力された情報をコピーし、聴取した内容を追記するだけで済み、電子カルテの操作時間短縮につながる。

 紙の問診票による画一的な質問項目と異なり、患者ごとの症状によって問診内容が展開されるため、医師の口頭問診をかなり部分でサポートしてくれるという。そのため口頭問診を効果的・効率的に行うことができる。AI問診Ubieを運用している目々澤醫院 院長の目々澤肇氏(東京都医師会理事)は、「口頭問診が7分近く短縮された。その時間を患者への説明に費やすことができるようになった」と話す。

目々澤醫院の目々澤氏