“入口”から“出口”まで一気通貫のサービスを構築

 北原病院グループは、AIベンチャーとの共催でデジタルリハビリコミュニティ「リハビリテーション×AIイノベーションラボ」を発足した。亀田氏はこのコミュニティを「現場のセラピストとAIの接点となるもの」と位置付ける。「現場の課題をAIを使って解決するようなソリューションを生み出す場にしていきたい」(同氏)。

 今回の取り組みに対して、北原病院グループのKitahara Medical Strategies International(KMSI)で取締役を務める浜崎千賀氏は大きな期待を寄せる。脳と心臓の専門とする北原病院グループは、救急からリハビリ、在宅までの地域医療を一貫して提供。「『よりよく生きる』を産業化する」を目標に掲げ、八王子市をフィールドとした「八王子モデル」の構築を進めてきた。

Kitahara Medical Strategies International(KMSI) 取締役の浜崎千賀氏

 この八王子モデルでは病院が地域全体を支えるサービスをとして「トータルライフサポートシステム」と提唱しており、それを実現する仕組みとして、病院がワンストップですべてのサービスを包括的に提供する会員制サービス「北原トータルライフサポート倶楽部」を提供している。そして、このサービスのメニューの1つに、期間や回数の制限なくリハビリを受けられる自費のリハビリサービス「ユアリハビリテーション」がある。

 浜崎氏によれば、会員の90%以上がこの自費リハビリサービスを利用しており、リハビリサービスが「市場で必要とされている」ことを実感。そこで、その発展版として「オンライン遠隔リハビリサービス」を提供したいと考えて「エクサウィザーズと手を組んだ」とその経緯を語った。

 一方、エクサウィザーズは2018年にMedTech部を設立。事業ビジョンとして「価値のあるヘルスケアを実現し、自分らしく生きられる世界を目指す」を掲げ、「データとAIを上手く活用したプロセスと仕組みを構築することで、より良い意思決定と行動を支援する」ことを目指している。この考え方が北原病院グループの「『よりよく生きる』を産業化する」というビジョンに共感し、「具体的な取り組みにつながった」とエクサウィザーズ MedTech部 部長の羽間康至氏は振り返る。

エクサウィザーズ MedTech部 部長の羽間康至氏

 羽間氏は、B to Bでデジタルトランスフォーメーションを支援してきたこれまでのポジションと、患者や医療従事者に新たな仕組みを提供していくポジションの両面をしっかえり押さえていくことで、「医療のシステム自体をアップデートしていく」と力説。最終的には「“入口”から“出口”まで一気通貫で患者・専門家をサポートできるようなサービスを構築する」という考えだ。

 今回のオンライン遠隔リハビリサービスは、まさに“出口”における患者への介入サービスの1つとなる。こうした動きを進めつつ、今後はディープラーニングを活用したフレイル検知で重症化を予防するなど「“入口”の開発も手掛けていく」(羽間氏)と語った。

(タイトル部のImage:近藤 寿成)