米国では3分の1以上の病院が採用

 続いて講演に立ったカミル・ニュートン氏は、米国における排尿管理の現状と、女性用体外式尿カテーテル「ピュアウィック」の概要について講演を行った。ニュートン氏は医師でピュアウィックの発明者、ピュアウィック社の創業者でもある(現在、ピュアウィック社は米ベクトンディッキンソン社が買収)。

医師でピュアウィックの発明者、ピュアウィック社の創業者でもあるカミル・ニュートン氏

 米国でも入院患者などに対する排尿管理の方法は日本と同様で、歩ける場合は、ポータブルトイレが用いられるが、身体状況に応じて、膀胱留置カテーテルや差し込み便器、おむつなどが使われる。しかし、トイレの使用は転倒リスクが高く、紙おむつやアンダーパッドを使用した場合、16.3%に皮膚損傷や褥瘡が生じるなど、トラブルも多いという。褥瘡が発生した場合、医療費は平均4万8000米ドルにものぼる。

 トイレの使用が困難な場合、男性用には、体外に装着できるコンドーム型採尿器が商品化されているが、女性用はなく、尿路カテーテル装着による感染リスクの上昇と、紙おむつやパッドの不快さや皮膚障害リスクを秤にかけるしかなかった。この状況を改善するために開発されたのがピュアウィックだという。

 ピュアウィックは、一部をラテックス(ゴム)に覆われた太さ約4cm、長さ約25cmのキャンディーバー状をしている注)。一端にチューブが出ていて、これを尿を溜める容器(キャニスター)に接続する。病院の病室には、痰の吸引などを行うため、大気圧より低い陰圧(吸入)が標準で配管されており、キャニスターにこれを接続する。

注)現在は、米国向け、日本向けともシリコンゴム製となった。

ピュアウィックの外観

 使用の際は、ピュアウィック本体のガーゼ面に尿道口を当て、股にはさみ込むようにする。一見、尿が漏れてしまわないかと不安だが、排尿と同時に吸引され、漏れることはほとんどない。Newton氏が自身で体験した結果では、500mLの排尿でも尿漏れは起きなかったという。非常にやせている場合など、正しい位置を保つのが難しい場合は、メッシュパンツを装着して固定する。

 米国では発売後、徐々に採用する病院が増え、現在では約1800病院に導入されており、毎月100万本が使用されているという。

 Newton氏は、「膀胱内に留置するカテーテルを使った場合、1日ごとに5%ずつ感染リスクが増加するとされている。ピュアウィックはこうした感染のリスクを下げ、患者の命を救うデバイスだ」と締めくくった。

 なお、すべての患者に向いているわけではなく、認知症など意識障害があって、カテーテルを抜きたがる行動が見られる人や、月経時にタンポンを装着できない人、排便に問題がある人などには適していないという。