頭頸部がん再発患者で30人中4人の腫瘍が消失

 RM-1929について今回の会見で発表されたのは、薬剤開発の初期から中期に相当する臨床試験(第1/2a相)の結果。それまでの治療が有効ではなく、再発が見られた頭頸部がんの患者30人を対象とした。光免疫療法による治療の結果、43%に当たる13人で腫瘍が縮小する効果が見られ、そのうち4人では、画像診断などで腫瘍が完全に消失したことが分かった。

 頭頸部がんとは、眼と脳・脊髄を除く首から上の部位で発生するがんのこと。舌がんや喉頭がん、甲状腺がんなどが含まれる。臨床試験では頭頸部の扁平上皮がんが対象となった。

 臨床試験を主導したガルシア・グズマン氏は、「今回の臨床試験の対象は、様々な治療が効かなかった末期の患者さんだ。そうした患者さんにおいて43%で腫瘍縮小効果が見られたのは、治療薬として高いポテンシャルを示したことになる」という。

 光免疫療法は、体の健康な部分への有害な副作用を最小限にとどめ、標的となるがんだけを攻撃する治療法の1つ。RM-1929は頭頸部がんなどに多く見られる上皮成長因子受容体(EGFR)の働きを抑えるEGFR抗体にIR700という色素の一種を結合したもので、「抗体複合体」と呼ばれる。

 RM-1929を静脈注射で体内に入れると、抗体部分がガイド役となり、薬剤はがん細胞の表面に結合する。その後、がんに対して波長690nm(ナノメートル)の赤色レーザー光を5分間当てると、RM-1929が結合したがん細胞だけが破壊される。光が届く範囲は数cm程度とされるため、大きながんの場合は、がん内部にも光源を入れる。

 臨床第1/2a相試験は、2015年6月から2019年にかけて実施された。また、2018年12月からは、より大規模な国際共同第3相試験「LUZERA-301」が始まった。