一般社団法人日本ケアテック協会は2021年6月30日、東京・芝浦で設立記念総会を開催した(関連記事:日本ケアテック協会、設立記念総会を開催)。会の後半では、ケアテックフォーラムと題して、政策・施設介護・在宅介護の3つのテーマで同協会理事らによる講演、パネルディスカッションが実施された。

 最初のセッションでは、「科学的介護情報システム(LIFE)」をテーマに、岡山大学客員教授・日本製薬団体連合会理事長の宮島俊彦氏と産業技術総合研究所 招聘研究員の岡本茂雄氏を迎えたセッションが実施された。進行はビーブリッド代表の竹下康平氏が務めた。

進行は同協会の専務理事/事務局長で株式会社ビーブリッド代表の竹下康平氏
進行は同協会の専務理事/事務局長で株式会社ビーブリッド代表の竹下康平氏
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 科学的介護情報システム(LIFE)は、厚生労働省がこれまで運用してきた「通所・訪問リハビリテーションデータ収集システム(VISIT)」と「高齢者の状態やケアの内容等データ収集システム(CHASE)」を統合したもの。科学的に効果が裏付けられた自立支援・重度化防止に資する質の高いサービス提供の推進を目的とする。厚生労働省へのデータ提出とフィードバックの活用による、PDCAサイクル・ケアの質の向上を推進する取り組みだ。2021年4月の介護報酬改定において、LIFEの活用を算定要件に含む加算が新設された。

宮島氏は介護においてもLIFEをきっかけにDX推進への期待を示した
宮島氏は介護においてもLIFEをきっかけにDX推進への期待を示した
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 このLIFEについて、宮島氏は「思い切った政策判断が行われた。10年前では『エビデンスが出ません』と言われてできなかっただろう」と語る。岡本氏も「状態像を把握しようとするのは非常に良いこと。革命的な年だと思っている。真剣な研究開発、分析が求められる時代が始まった」と一定の評価を示した。

同協会理事で岡山大学客員教授・日本製薬団体連合会理事長の宮島俊彦氏
同協会理事で岡山大学客員教授・日本製薬団体連合会理事長の宮島俊彦氏
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「ライバル同士でも1社で考えるのはやめること」

 進行の竹下氏は、「データ活用の課題感」について質問した。これに対し、宮島氏は「個人情報の保護と匿名化した情報でどこまでできるのかが課題」とし、現状ではどんな行為やサービスを行なったかの記録が医療も介護も手薄な点を指摘した。

 岡本氏は、違う分野の技術も幅広く使うことが大切だとする。「ライバル同士でも1社で考えるのはやめること」(同氏)。ケアテックに直接関係ない分野も含めて、情報を持ち合って開発していくことの大切さを問いた。

同協会理事で産業技術総合研究所 招聘研究員の岡本茂雄氏
同協会理事で産業技術総合研究所 招聘研究員の岡本茂雄氏
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 最後に、ケアテック企業に求めることを両氏がコメントした。宮島氏は「部分最適にならず、トータルで介護が良いものになるように。常に社会の在り方、介護の在り方に立ち返って考えてほしい」と語った。岡本氏は「真に役立つものを作ろうと思ったら色んなタイプの現場に行かないといけない。話を聞いただけでつくるのはやめよう」と檄を飛ばした。

岡本氏はLIFE、ケアテックだけではなく、介護そのものが進化することで相乗効果が得られると訴えた
岡本氏はLIFE、ケアテックだけではなく、介護そのものが進化することで相乗効果が得られると訴えた
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(タイトル部のImage:monsitj -stock.adobe.com)