個人の健康状態がデータ化されるようになった現代、そのデータをどう扱うべきか。これは、医療やヘルスケア業界に限らず、個人データを活用しようとする企業などの組織、そしてユーザー自身にとっても大きなテーマである。

 デジタルガレージが2019年6月24日に開催した「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2019 TOKYO」では、個人データ利用の魅力や課題に関して、データビジネスや医療の専門家が議論を交わした。パネリストは、デジタルガレージ創業者で米MITメディアラボ所長の伊藤穰一氏、同ラボの研究者 兼 デザイナーであるステファニー・グエン氏、そしてWelby(ウェルビー) 代表取締役の比木武氏だ。

 なお、WelbyはPHR(Personal Health Record)など医療・ヘルスケアデータに関する事業を手掛けるスタートアップで、2019年3月に東京証券取引所マザーズ市場へ上場したばかり。

「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2019 TOKYO」のパネルディスカッションの様子
左から、デジタルガレージの渋谷直正氏、MITメディアラボ所長の伊藤穰一氏、同ラボのステファニー・グエン氏、Welbyの比木武氏(写真提供:デジタルガレージ、以下同)

セキィリティーとマネジメントは区別すべき

 モデレーターを務めたデジタルガレージのCDO(チーフ・データ・オフィサー)渋谷直正氏による最初の質問は、「企業が個人データを管理している現状についてどう思うか」。個人データに基づいた様々なネット広告の掲出は、多くの人が日々実感することだ。

Welbyの比木武氏

 この問いに対して、データの「セキュリティー」と「マネジメント」という切り口で整理したのが比木氏。比木氏は「データセキュリティーとデータマネジメントが一緒に扱われることがあるが、両者はまったく違う」としたうえで「今の医療は、セキュリティーはがちがちでマネジメントされていない状態」とした。セキュリティーとマネジメントは分けて考えるべきだとして「セキュアであっても、正しいマネジメントができていないと有用ではない」と表現、データの有効活用のためのマネジメントの重要性を述べた。

 伊藤氏は「企業も成長のために利用している。現状については仕方がない面がある」と、企業側の姿勢に理解を示しつつも「プライバシー保護技術をもっと使うべきだし、ポリシーも本来あるべき姿を追求すべき」とした。グエン氏は「データのマネジメントとコントロール」の主体者に注目。「誰がマネジメント、コントロールしているかが重要」と語った。