一流アスリートの体調管理は、トレーナーや管理栄養士などがチームを組んで支えていることが多い。これら“チーム型”のトレーニングを一般人がオンラインで受けられるサービスが「weltag(ウェルタッグ)」だ。首都圏を中心に会員制フィットネスクラブを展開する東急スポーツオアシスが開発した。

 実は東急スポーツオアシスは2021年6月、ジム運営会社からウェルビーイング(幸福)総合カンパニーへと舵を切り、抜本的な業態変革を実施した。店舗型フィットネスクラブ事業、ホームフィットネス事業、BtoB/BtoGの健康コンサルティング事業、デジタルヘルス事業の4つを中心とし、より幅広い層に運動・健康習慣を拡大していくことをミッションとする。

weltagの特徴(写真:小口 正貴、以下同)
weltagの特徴(写真:小口 正貴、以下同)
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 背景には、コロナ禍で大打撃を受けたスポーツジム業界の状況がある。2020年は倒産件数が過去最多となる29件にのぼり、順調に推移していた市場規模も2019年の4939億円から3196億円へと一気に落ち込んだ。東急スポーツオアシスでも2020年4月〜2021年3月までの退会者が対前年比で約1.4倍となった。そのうち約3割が「新型コロナウイルス感染の懸念のため」を理由としている。全体の売上高も約3割減となった。

 その一方で、運動不足解消のニーズから自宅でのトレーニング需要が急増。同社のECサイトにおける自宅トレーニンググッズなどの売上は2019年の約4億円から約8億円へと2倍に伸びたという。ホームフィットネスとデジタルヘルス事業をクロスさせた新サービスのweltagは、こうした伸び盛りの市場を刈り取っていくツールとなる。

心と身体の健康をサポートしてくれる“チーム自分”を結成

 2021年7月5日に開催した発表会で、東急スポーツオアシス デジタルヘルス事業部の野村誠太郎氏は「大手フィットネスクラブでは初のサービスとなるチーム型オンライントレーニング。1対1のパーソナルトレーニングでありながら、お客様とトレーナー、あるいは複数のトレーナーがタッグを組み、お客様のウェルビーイングな人生をサポートしていく」とweltagの概要を説明した。

東急スポーツオアシス デジタルヘルス事業部 プラットフォーム事業グループ ゼネラルマネージャー 野村誠太郎氏
東急スポーツオアシス デジタルヘルス事業部 プラットフォーム事業グループ ゼネラルマネージャー 野村誠太郎氏
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 核となるのはオンラインを意識させない濃密なコミュニケーションだ。スポーツジムに通った経験のある人なら理解できるかもしれないが、トレーニングが継続しない理由の1つに「1人では続かない」ことが挙げられる。そのため、weltagではパーソナルトレーナーとのビデオ通話による積極的な会話、メッセージ機能を駆使した日常的なフォローを重視した。

 トレーナーはパーソナルトレーナー、スポーツトレーナー、ヨガトレーナー、ピラティストレーナーといった運動中心の専門家に加え、管理栄養士、臨床心理士、理学療法士、柔道整復師、エステティシャンなど全8ジャンル、約200人が所属。ここから自分の運動・健康メニューに沿ったトレーナーを選んでチームを組み、励まし合いながら目標を達成する。ユーザーだけでなく、トレーナー同士がジャンルの壁を超えて情報を共有しあい、より良いスキルを学ぶことも視野に入れている。

会場のデモの様子。笑顔を絶やさずに積極的にコミュニケーションを取る
会場のデモの様子。笑顔を絶やさずに積極的にコミュニケーションを取る
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 「多彩なジャンルのトレーナーから指導が受けられ、心と身体の健康をサポートしてくれる“チーム自分”を結成できるのがメリット。デジタルで健康データが蓄積され、トレーナーが変わってもデータが引き継がれる点も特徴だ」(野村氏)

スポーツジム業界の新風となるか

 プランはLITE(月1回)が月額4500円、STANDARD(月2回)が月額8500円、PREMIUM(月4回)が15400円(すべて税込み)。セッションと呼ばれるパーソナルトレーニングは1回につき30分で、プランにより内容は異なる。

 「例えばLITEなら今月は管理医栄養士、来月はパーソナルトレーナーといった形。ダイエットが目的でPREMIUMを選んだ場合は、月2回はパーソナルトレーナー、残り2回は管理栄養士とメンタルトレーナーで使い分けることを想定している」(野村氏)

ビューティトレーナーの朝倉未菜さんは女優との二足のわらじで活動。今回のデモでは、マスク着用で見過ごされがちな顔の表情筋を鍛える運動をレクチャーした
ビューティトレーナーの朝倉未菜さんは女優との二足のわらじで活動。今回のデモでは、マスク着用で見過ごされがちな顔の表情筋を鍛える運動をレクチャーした
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 もっとも東急スポーツオアシスには、すでに66万人のユーザーが利用するトレーニングアプリの「WEBGYM」がある。こちらは“ジムを持ち歩く”ことをコンセプトとしたトレーニングメニューの動画コンテンツ配信がメインで、約1500以上のメニューを展開済み。weltagにあわせたリニューアルでは、新たにアバター作成やメダル獲得などのゲーミフィケーションやEC機能を付加した。

 「兄弟アプリなので、WEBGYMの強固な会員基盤と連携しながらweltagを発展させていく。weltagのセッション内でWEBGYMの動画を流してパーソナルトレーナーと一緒に運動する機能もある。両方を上手く活用しながら、3年後にはweltagの会員もWEBGYMと同等の規模まで成長させたい」(野村氏)

管理栄養士は前日の夕食をヒアリングしながら、食事にオススメの食材をレコメンド
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 会場では4人のトレーナーがweltagのデモを行なった。実際は画面の向こう側がユーザーのため、どのような体験になるのかは定かではないが、目の前にいるトレーナーは非常に細かくコミュニケーションを取り、ユーザーの集中力を削がない工夫を凝らす姿が印象的だった。依然として新型コロナウイルスの影響が続く中、家にいながらにして“チーム自分”を体感できるweltagは、スポーツジム業界に新風を巻き起こしそうだ。

デモを行なったトレーナーの面々。多彩なジャンルの専門家がバックアップする
デモを行なったトレーナーの面々。多彩なジャンルの専門家がバックアップする
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(タイトル部のImage:小口 正貴)