「この10年近くでがん診療は大きく変化した。そのポイントは、がんが解剖学的な疾患から、遺伝子変異による疾患になったということ」──。7月4日に都内で開かれた「FoundationOne CDxがんゲノムプロファイル」発売記念セミナーで、中外製薬ファウンデーションメディシン事業推進部長の飯島康輔氏はこう強調した。同製品は、がんの遺伝子を包括的に調べるパネル検査の一つで、この6月に保険適用となった(関連記事)。

 大きな転機となったのは、2000年代初頭のがん分子標的薬の登場だ。この後、特定の遺伝子変異があると同薬の効果が高いことが明確になった。一方で、分子標的薬による副作用が社会問題になったことなども、効果の高い個人を特定する考え方を後押しした。

 その後、2010年代に入ると、そうした動きに拍車が掛かる。2012年に、米国で「プレシジョンメディシン(精密医療)」の考え方が提唱され、病気を遺伝子によって分類する考え方が出てくる。さらに、2015年当時、米国大統領だったオバマ氏がプレシジョンメディシン・イニシアティブを掲げ、政府による研究資金の拠出を表明。その後、がんは遺伝子の病気との認識が国際的に浸透し、臓器別にがんを捉えるのではなく遺伝子変異の違いによってがんを区別するようになった。

中外製薬ファウンデーションメディシン事業推進部長の飯島氏(写真:Beyond Health、以下同)

 我が国でも2018年に「がん対策推進基本計画」が閣議決定され、がんのゲノム医療を重視する政策が進められる。そうした流れの中で臨床試験が進み、2019年6月に保険適用となったのが、がんの遺伝子を包括的に調べる「パネル検査」だ。

 飯島氏は、パネル検査の役割として3点を挙げた。一つは、固形がんの患者を対象として、腫瘍組織の包括的なゲノムプロファイルを調べること。二つめは、遺伝的な特徴を見ることで、合う薬の検討材料にできること。さらに、もう一つは、薬の効果を判定するための遺伝子検査だ。