大阪大学 大学院医学系研究科の坂田泰史氏らの研究グループは、心疾患に対するオンライン管理型心臓リハビリテーション医療機器を用いた医師主導治験を開始する。2020年7月10日に開催した記者発表会で発表した。日本医療研究開発機構(AMED)の「医療機器開発推進研究事業」の支援を受けて実施する。今回の治験は、リハビリ領域における遠隔医療の国内初の医師主導治験だという。

オンライン記者発表会の様子(写真:オンライン記者発表会の画面キャプチャー)

 日本人の死因の第2位は心疾患であり、その中で最も多いのが心不全だと報告されている。心不全の患者は国内に120万人以上いると推定されており、高齢者に多い疾患であることから今後もさらなる増加が見込まれている。

 心不全は再発を繰り返す病態であることが分かっており、「再入院率は年間35%になるのではないか」と坂田氏は話す。再入院の期間は決して短くなく、約30日の入院が必要とされ、一度の入院費用は約120万円かかると推察されている。

心不全における問題(出所:坂田氏の発表資料)

 心不全を繰り返さずに、再入院を防ぐため、さまざまな策が講じられているが、「最も注目されているのが心臓リハビリテーション」(同氏)である。医療機関内の施設で理学療法士や看護師による適切な運動療法を行えば、再入院率が4割低減するという報告もされている。運動には、心臓や肺、血管、交感神経の機能を整える効果があるとされ、「それが再入院率の低下につながっているのではないか」と同氏は見る。

 リハビリテーションは、入院中だけではなく、退院後も通院してもらいながら継続的に行う必要がある。しかし、国内の研究結果では、心不全で入院した患者のうち、入院中から退院後まで継続的にリハビリテーションを行えている患者はわずか1割未満にとどまっていることが明らかになった。主な理由としては、患者が高齢であるため、頻回の通院が難しいことが挙げられる。

 そこで、坂田氏らの研究グループは、在宅でのオンラインリハビリテーションに着目した。通院が難しい患者が、自宅でも質の高いリハビリテーションを受けられるようになれば、再入院率を低下させられる可能性があるからだ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で外出のハードルが高くなっている現在のような状況下にも適していると見られる。

 今回発表した治験では、大阪大学医学部発ベンチャーのリモハブが手掛けるオンライン心臓リハビリテーションシステム「リモハブ(通称:RH-01)」を用いて、オンライン心臓リハビリテーションの有効性と安全性を検証する。全国8施設と協力し、頻回の通院が困難な心不全患者108人と、狭心症や開心術後、大血管疾患の患者20人の合計128人を対象にする。

オンライン心臓リハビリテーションシステム「リモハブ(通称:RH-01)」使用イメージ(出所:谷口氏の発表資料)