低侵襲・低価格・高効果を併せ持つ再生医療技術

 現在、下肢の難治性潰瘍やCLIに対しては、同様にMNCに含まれ血管再生作用があるCD34陽性細胞を用いた細胞治療の治験や臨床研究も進行中だ。ただ、十分なCD34陽性細胞数を得るためには、患者に顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を投与して白血球を増やした上で、アフェレシス(成分採血)を通して単核球を採取する必要がある。さらに単核球からCD34陽性細胞を単離する磁気細胞分離装置も要る。

順天堂大学医学部形成外科学講座先任准教授の田中氏(写真:Beyond Health)

 一方、田中氏らの治療法は、外来で通常の採血で得た検体からMNCを調製し、7日間浮遊培養した後、回収したMNC-QQ細胞を手術室で潰瘍周囲の皮下と筋肉に注射するというものだ。「外来でわずか200mLの採血のみで多くの機能的な細胞を採取できる上、患者に負担のかかるG-CSF投与やアフェレシスの必要もない本治療法は、簡便で患者に負担が少ない血管再生治療法といえる。また、検体を輸送してもらえば、MNC-QQ細胞にして輸送し戻すだけなので、日本のみならず世界中のどこにでも本治療法を届けられる」と田中氏は話す。

 同氏らは、より高い治療効果を得るため、注射範囲を下腿まで広げ複数回投与をする第1/2相臨床研究を、CLI患者を対象に進めている。2021年度末までには大学発の再生医療・細胞治療開発ベンチャーReEirによる企業治験へ移行する計画。自動培養装置や検査キット、バイオマーカーなども開発し、低侵襲・低価格・高効果を併せ持つ新規の再生医療技術として世界に展開したいとしている。

(タイトル部のImage:mikelaptev -stock.adobe.com)