各種脱毛を対象に発毛施術サービスなどを手掛ける毛髪クリニック リーブ21(以下、リーブ21)は、抗がん剤治療の副作用による脱毛の低減・抑制に向けた医療機器「頭皮冷却装置 セルガード」を2020年秋口をめどに発売する。2020年7月10日に開催した記者会見で発表した。

 同社では固形がん患者における薬物療法誘発性脱毛の抑制を目的とした医療機器として、同機器の承認を2020年3月6日に取得していた。想定するのは抗がん剤治療を行う日本全国のがん診療連携拠点病院での利用。価格は432万円(税別)を予定しており、販売目標台数は2000台以上。

「頭皮冷却装置 セルガード」と毛髪クリニック リーブ21 代表取締役社長の岡村勝正氏(中央)、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻 招聘教授の小林忠男氏(左)、独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター 乳腺外科医長の渡邉隆紀氏(右)(写真:Beyond Health、以下同)

 乳がんなどの治療における抗がん剤治療では、毛乳頭細胞、毛母細胞、毛根鞘細胞などの各細胞が影響を受け、毛髪が抜けてしまうとされている。これに対して、抗がん剤を投与する際に頭部を冷却して血管を収縮させることで頭部への血液の循環を制限し、結果的に薬剤の循環を抑制して毛根細胞などを生存させ、脱毛を抑えようとするのが「頭皮冷却法」だ。

 以前は冷蔵庫などで保冷機能を備えるキャップを冷やして着用しキャップが温まったらまた冷蔵庫で冷やすといった簡素なもので、あまり効果を得られなかった。ところが、液冷式で温度制御が可能な頭皮冷却システムをスウェーデンDignitana社と英Paxman Coolers社が実用化。2017年には米国で『JAMA(Journal of the American Medical Association)』に両社の機器を評価した論文が掲載されたことで一大センセーショナルを巻き起こし、『The Lancet Oncology』といった医学雑誌から一般媒体に至るまで多くの媒体で取り上げられ、話題になったという。

 ただし欧米人と日本人では頭部形状が異なるため、両社の機器を日本人が利用するのは難しかった。そこで、リーブ21では日本人の頭部MRI計測データを元に頭部形状にフィットするシリコーンキャップを設計し、日本人に向けた今回の装置を実現したとする。このシリコーンキャップには流路が形成されており、本体から+1〜10℃に冷却した液体(プロピレングリコール)を流すことで頭皮を冷却する仕組みだ。

インナーキャップを外した状態。シリコーンキャップには流路が見える

 シリコーンキャップの内側には各ユーザーが“マイキャップ”として利用する不織布のインナーキャップを着用し、外側には密着を保持するためのネオプレイン製アウターキャップを着用する。キャップの形状などを工夫することで密着性を高めより効率よく冷却できるようにしたほか、温度制御の誤差を抑えるなど高性能化を進めたとする。タッチパネル制御は全て日本語表示とし、修理などの要望にも対応しやすいなど、日本で利用しやすいとする。