NECソリューションイノベータは、ヘルスケア事業の強化を目的として新会社「フォーネスライフ」を設立した。血中たんぱく質の解析技術を持つ米SomaLogic社との協業を開始する。2020年7月9日に開催した記者会見で明らかにした。

 NECグループの人工知能(AI)・解析技術をSomaLogic社の技術と組み合わせることにより、現在および将来の健康状態や疾病リスクを可視化するとともに、一人ひとりに合った改善策を練り、それを実行した場合のシミュレーションと併せて提示する。2020年10月から、心血管・脳血管疾患の再発リスクを予測して改善策を提案するサービスを始める予定だ。

フォーネスライフ 代表取締役の江川尚人氏(写真:松田 千穂)
NECソリューションイノベータ 代表取締役 執行役員社長の杉山清氏(写真:松田 千穂)

 フォーネスライフがサービスの提供によって目指すのは、「行動変容」だ。日本の20歳以上の約67%が毎年、健康診断を受診*1しているものの、その結果を受けて行動やライフスタイルを変える人は、必ずしも多くない。そこで同社が提案するのが、健康診断のオプションとしての新サービスの利用である。「現在の健康状態の見える化」と「疾病リスクの予測」、個別の「改善提案」とそれを実行した場合の「結果シミュレーション」という「明暗の両方を提示することにより、行動変容を後押しする」(フォーネスライフ代表取締役の江川尚人氏)。

行動変容のステージモデル。健康診断の結果を受けて、6カ月以内に行動を変えようと思っていない「無関心期」から「関心期」「準備期」「時実行期」を経て、行動を変えて6カ月以上の「維持期」まで行動変容には5つのステージがある(出所:フォーネスライフ)

 2040年には65歳以上の人口比率が35%に達し、社会保障給金額は190兆円に増える見込み*2・3。個人レベルで見ても、例えば脳梗塞を患って治療とリハビリに5カ月かかると、約880万円もの費用が発生するのに加え、その間には就業できず、収入が約250万円減ると試算されている*4。当然、本人や家族の肉体・心理的負担も大きく、その損失は「金額では計り知れない」(同氏)。多くの人の行動変容を促し、健康寿命を伸ばすことが社会保障費の抑制にもつながると、フォーネスライフは見ている。

*1 厚生労働省「平成25年度国民生活基礎調査」
*2 内閣府「平成30年版 高齢社会白書」
*3 内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」
*4 2019年政府統計情報に基づいた調査会社の推計