2017年から提供を開始した「IIJ電子@連絡帳サービス」(以下、連絡帳サービス)。名古屋大学医学部附属病院 先端医療開発部 先端医療・臨床研究支援センターとの共同研究・開発により生まれたITプラットフォームだ。地域包括ケアを円滑に進めることを目的としてクラウド型サービスの形で提供され、2022年6月末現在、全国71の行政・地域に導入されている。

 連絡帳サービスは地域の医療、介護、福祉に携わる専門職、自治体、そして民間サービスを連携。在宅医療に関わる専門職のネットワークをはじめ、介護予防施策や医療的ケア児支援への活用、災害時の要救護者支援など、専門職と行政が“ワンチーム”となるための機能を備えている。

 2022年7月11日、その連絡帳サービスに新たな機能が加わった。それが「地域資源連携オプション」である。サロンや体操教室などの通い・出会いの場、多目的トイレ、オレンジサポーター(認知症サポーター)などの福祉施設・資源、移動型スーパーなどの買い物支援、あるいは避難所など、これまで目が届きにくかった地域資源を包括的に集約して情報を提供する。

散在する地域資源情報を一元的に提供(出所:IIJ)
散在する地域資源情報を一元的に提供(出所:IIJ)
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専門職による地域資源のマッチング機能も備える(出所:IIJ)
専門職による地域資源のマッチング機能も備える(出所:IIJ)
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 同日、オンライン記者会見を行なったIIJ 公共システム事業部 ヘルスケア事業推進部 部長 喜多剛志氏は「現在、プラットフォーム上で活動する専門職は1万9000人以上、30職種以上になる。おそらく今年度には2万人を突破。支援を受ける対象者数は約3万1000人。医療、介護、福祉連携の自治体向けプラットフォームとしては国内最大規模を誇る」と説明。その上で、開発の経緯について次のように語った。

 「今回加わった地域資源は、デジタル化の遅れによる情報の散在が数多く見られる。なかなか資源と住民をマッチングすることが難しく、うまく活用が進んでいない。一方、コロナ禍で外出を控えるムードが高まったこともあり、高齢者の社会参加の機会が減っている。介護予防、フレイル予防の観点からも、通いの場の適切な情報共有が必要。散在している情報の登録と公開、活用と共有を進めることで、横断的なデータ連携の仕組みが必要だと考えた」(喜多氏)

IIJ 公共システム事業部 ヘルスケア事業推進部 部長 喜多剛志氏(オンライン会見のスクリーンショット)
IIJ 公共システム事業部 ヘルスケア事業推進部 部長 喜多剛志氏(オンライン会見のスクリーンショット)
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 登録した地域資源は住民や事業者は自由に検索が可能。ただしPCやスマホの操作が難しい高齢者向けに、専門職がピックアップして参加を促すマッチング機能も備えている。専門職が勧めることで住民は安心して社会参加ができるようになる。

 喜多氏は具体的な目標として「まずは71行政の3分の1程度に導入を促していきたい」と話す。一方、こうした地域資源の可視化には問い合わせも多く、未導入の自治体からも問い合わせがあるという。ゆくゆくはオープンデータとして公開し、「デジタル田園都市国家構想」でうたわれるウェルビーイング向上に役立てたいとする。

 「今後、地域資源の活用は地域行政にとって非常に重要になってくる。全体のサイクルを活性化し、地域のDXを促進するのが狙いだ」(喜多氏)