半導体商社のマクニカは、脳科学とAI(人工知能)を組み合わせた「Brain Tech」の領域で、オープンイノベーションとその社会実装を推進するための組織「BRAIN AI Innovation Lab.(BRAIL、ブレイル)」を新設する。2021年7月14日に発表した。EEG(electroencephalogram、脳波)などを用いて脳の活動状態を計測し、その計測データをAIで分析することで製造業や医療などの分野における「暗黙知」を「形式知」化し、各種データ処理のデジタル化を推進するなど、実社会での活用を進めることを目指す。

 同社では「Brain AI」を人間の脳とAIを結び付ける取り組みと定義する。脳科学では現在、AIを含む機械学習を活用した研究が進んでおり、意思決定や意識レベル、集中度といった脳の状態をある程度の精度で解読できるようになっているという。ただし、こうした最先端の研究開発と社会実装の間には大きな隔たりがあり、研究内容を応用した技術の実用化には時間がかかるのが一般的だ。

オンライン発表会で登壇した、マクニカ BRAIN AI Innovation Lab. プリンシパルの楠 貴弘氏(写真:マクニカ)
オンライン発表会で登壇した、マクニカ BRAIN AI Innovation Lab. プリンシパルの楠 貴弘氏(写真:マクニカ)
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 マクニカでは、2019年12月にAIに関する専門組織「AI Research & Innovation Hub(ARIH)」を設立し、論文調査やAI技術の実装に向けた研究、関連プロジェクトの支援を行ってきた。BRAILでは、ARIHでのこうした取り組みに「脳科学」の技術を取り入れ、大学や研究所などの組織と製品パートナーの産学連携を行い、最先端の研究を基に、社会実装に向けた新サービスの開発や運用を進めるとする。

 具体的なサービスとしては、例えば遠隔医療分野で医師の暗黙知を形式知化して活用したり、製造分野では匠の暗黙知を形式知化することで技術継承や人材不足への対策としたり、マーケティングなどに活用するといったことを想定しているという。

(タイトル部のImage:出所はマクニカ)