ネット業界の経営幹部や投資家が集まる招待制カンファレンスInfinity Ventures Summit(IVS)2019 Summer Kobeが、2019年7月11~12日に開催された。12日午前中に行われたのは、IVSでは恒例のスタートアップ・ピッチコンペ「LaunchPad」だ。

 このコンペは、審査を経て選出されたスタートアップ企業が、投資家や経営幹部らで構成される審査員の前で短時間のプレゼン(ピッチ)を行い、上位入賞者を表彰するもの。過去には、クラウドソーシングを手がけるクラウドワークス、中小企業向けクラウド会計サービスを提供するfreeeなどの企業を輩出しているイベントである。

 過去のLaunchPadの顔ぶれをみると、ソーシャルゲームやIoT(Internet of Things)デバイスなど、そのときどきの起業トレンドを反映している。今回は、医療・ヘルスケア領域を手がける数社が登壇、この領域への関心の高まりをうかがわせた。その中から、尿からがんを検知するサービスを開発するIcariaが3位に入賞した。

スタートアップ・ピッチコンペ「LaunchPad」の様子(写真:筆者が撮影)

日米で1万件以上の臨床試験実施を目指す

 Icariaは、2018年5月22日に設立されたスタートアップ企業。同社が着目するのは「エクソソーム」と呼ぶ、細胞間の情報伝達を担う膜小胞である(関連記事)。がんの転移の際、エクソソームががん細胞の転移先に送され、転移環境を作ってからがん細胞が転移する。そこで「エクソソームを捕捉して細胞間のコミュニケーションをハックすれば、転移状況がリアルタイムで分かる」(同社代表の小野瀨隆一氏)というわけだ。

 同社によると、現在エクソソームは「99%捕捉可能」になっているという。捕捉精度だけでなく、がんの種別も識別できるとのことだ。2020年夏には10種類の判別を目指しているという。受診の流れとしては、尿を提出後、1週間で検知結果が返ってくるというもの。検診料は5万~10万円を想定している。

 同社が今後目指す方向は、がんだけでなくすべての疾患をカバーし、治療の選択まで提供すること。その実現のための方策の1つとして、製薬・医療・ヘルスケア大手の米ジョンソン・エンド・ジョンソンがサンディエゴに設けたオープンイノベーションのための開発拠点「JLABS」への入居が決定、年内に米国での活動を始めるとした。今後、日米で1万件以上の臨床試験実施を目指すという。