東京医科歯科大学と金沢工業大学、リコーはこのほど、腰部や頸部、末梢神経の神経活動を可視化する脊髄磁界計測システム(脊磁計)を共同開発し、試作機を用いたヒトでの計測に成功した。痛みや出血、放射線被曝などといった体への負担がほとんどなく計測できるのが特徴だ。2020年にも米国食品医薬品局(FDA)と日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)に医療機器として承認申請する。

東京医科歯科大学附属病院の磁気シールド室で稼働中の脊磁計試作機(写真:Beyond Healthが撮影)

 首や腰の痛み、手足のしびれなどに悩む人は多い。例えば腰痛をかかえる人は、わが国では約2800万人にのぼる。こうした痛みやしびれなどの原因の1つが、脊髄をはじめとする神経のトラブル(神経障害)だ。

 神経障害の部位や程度を知る診断法としては、打腱器と呼ばれるゴムハンマーで筋肉の反射を見る「体の診察」、MRIによる「画像検査」がよく用いられ、これらで診断がつかない場合には、神経の電気的な活動を調べる「電気生理学的検査」が行われる。

 しかし、ハンマーなどによる診察は「一人前になるのに10年」と高度な熟練が必要とされ、部位や症状によっては専門医でも特定が難しい場合もある。また、MRIによる画像診断で神経が圧迫されている部位を調べる方法もあるが、高齢者では圧迫があっても神経障害が起きていないことも多く、障害が起きている部位が分かりにくい。

 神経の伝導を直接調べる電気生理学的検査には複数の方法があるが、体への負担が少ない体表面からの測定法では部位を特定するのが難しい。脊椎に電極を挿入する「脊髄誘発電位検査」などを用いれば正確な位置を特定できるが、痛みを伴う検査で、手軽とは言えなかった。