コロナ禍で聞き取りづらさを自覚するビジネスパーソンが増加

 日本補聴器工業会によると、2018年時点における日本国内の難聴自覚者は人口の約11.3%にあたる約1430万人と推定されている。そのうち9割以上を軽度・中等度難聴者が占める。軽度や中等度の場合、通常の会話中や環境によっては会話の聞き間違いが生じたり聞き取りにくさを感じたりといった程度とされる。そのため補聴器の所有率は12%と低く、1134万人は補聴器を持っていないとされる。

 一方、コロナ禍においては、マスクの着用やソーシャルディスタンスの確保、オンライン会議やパーティション設置といった状況が増えている。同社の調査では、日常生活での聞こえづらさを感じる人は新型コロナ感染症流行前後で約1.5倍に増加し、50代の人も2割以上の人が聞こえづらさを感じていることが明らかになった。

 そこで同社では、従来補聴器の必要性を感じにくかった軽度・中等度難聴者の中でも、コロナ禍では聞き取りづらさを自覚するビジネスパーソンが特に増加していると推測する。「現役でバリバリ働きたいが、聴力低下によるパフォーマンス低下が不安という人に向けて今回の製品を実用化することで、『健聴寿命』を延伸し、『生涯現役社会』の実現に貢献したい」(シャープ 専務執行役員 ICTグループ長 津末陽一氏)。

 今回の製品は、補聴器に対する「高い」「格好が悪い」「調整や取り扱いが面倒」といった印象を払拭できるものとする。中でも一番の特徴とするのは、カウンセリングや調整サービスをすべてオンライン化し、来店などの手間を省いた点だ。

 一般には調整をしないタイプの補聴器も存在するが、手軽な半面、ユーザーの聞こえの状態に合わない場合もある。「補聴器を使い始めた当初は、言葉と雑音が混ざったように聞こえてしまうもので、徐々に脳を慣れさせる必要がある。そのため、補聴器は購入後もスタッフによる聴力チェックや細かな調整が必要となる。一般に満足するまで、調整は3~10回ほど行う」(シャープ 通信事業本部 デジタルヘルスソリューション事業推進部長 石谷高志氏)。