サッカー元日本代表の鈴木啓太氏が代表取締役を務めるAuB(オーブ)。2015年の設立以来、同社はアスリートの腸内環境研究をテーマに事業を進めてきた。鈴木氏がそれまでのキャリアとかけ離れた道を選んだ理由は、幼少期から“お腹の働き”について意識的だったからだ。毎日のように母親から「便を見なさい」と教えられ、以降の選手生活でも便を見ることで体のコンディションを保ってきた。

 象徴的な事例が2004年のアテネ五輪アジア最終予選、主将を務めていたUAEラウンドでの出来事だ。23人の選手中、実に18人が下痢に見舞われ、試合直前までトイレに駆け込むほどひどい状態だったにもかかわらず、本人は体調を維持していた。「私自身の経験を生かし、アスリートの腸内細菌を研究することでアスリートのサポートができるかもしれない。さらに一般の人たちの健康にも活用できるのではないか」。鈴木氏はAuB設立の思いをこのように語る。

 2019年9月には大正製薬、三菱UFJキャピタルらから約3億円の資金調達を得るなど、周囲からの事業への期待も大きい。同年12月には、4年をかけて500人、1000検体以上のアスリートの便(腸内環境)を解析した結果をもとに、酪酸菌を主軸にした29種類の菌を配合したサプリメント「AuB BASE」を発売開始。「密なコミュニケーションを大事にしたい」との鈴木氏の思いから、自社ECサイトのみの販売としているが、現在までに1万個に届くほどの順調な売れ行きを示している。

AuB 代表取締役 鈴木啓太氏(写真:小口 正貴、以下同)

 そんなAuBが、元オリンピック選手の腸内から新種のビフィズス菌となる「AuB-001」を発見した。2020年9月2日に東京・京橋で行われたプレス発表会では、鈴木氏と取締役兼研究統括責任者 冨士川凜太郎氏が登壇し、AuB-001の説明を行った。