一般社団法人「ifLinkオープンコミュニティ」は2020年8月31日、設立半年を記念したオンラインインベント「ifLink Open Community Festival 2020 Summer」を開催した。会員企業やワークグループが「ifLink」を使った開発の事例を紹介したり、コミュニティを通した企業間連携の可能性について説明したりした。

 ifLinkは東芝デジタルソリューションズが開発したオープン型のIoTプラットフォーム。独自の「IF-THENエンジン」を利用することで、誰でも簡単にIoT機器を使ったサービスを作れるのが特徴だ。

 センサーやWebサービスなどを条件(IF)として設定し、特定の状態になったときに対応するアクション(THEN)を実行する。IFとTHENを設定するだけなので、プログラミングのスキルがない人でもサービスの設計が可能。ifLinkアプリをインストールしたスマートフォンがインタフェースになるため、IFとTHENに異なるメーカーの製品を利用できる。

「ifLinkモジュールバンク」に登録されたモジュールの例(出所:オンラインイベントの画面キャプチャー、以下同)

 ifLinkでは、接続する機器やWebサービスを「モジュール」と呼ぶ。現在、100社を超えるifLinkオープンコミュニティの会員企業が得意な分野のモジュールを提供している。「IoT機器はさまざまな部品やソフトウエアで構成されている。技術はどんどん進化していて、開発を製品メーカーやサービス事業者が1社で行うのは負担が大きくなってきた。そこで、さまざまな企業が機能を提供し、ユーザーがそれを選択できるという環境が必要だと考えた」(理事の吉本武弘氏)。

ifLinkオープンコミュニティ理事の吉本武弘氏

 ifLinkオープンコミュニティでは、各社が対応させたモジュールを「ifLinkモジュールバンク」というWebページに集約し、簡単に探せるようにしている。アイデアが生まれた場合は「オープンマーケティングプログラム」を利用してモジュールのメーカーと協力し、事業化までつなげることも可能だという。

従来は開発が1社に集約していたが、ifLinkオープンコミュニティでは会員がモジュールやレシピにアクセスして協力する相手を探せる

開発を始めて1カ月でデモ動作から評価まで到達

 事例の紹介では、コミュニティのプレミアム会員であるアルプスアルパイン、アーム、デンソー、Global Mobility Service、KDDI、SOMPOホールディングス、ソフトバンク、東京ガス、東芝の9社が「ビストロifLink」の経過発表を行った。ビストロifLinkはこの9社がそれぞれテーマを決めてアイデアを募集するというもの。応募のあった企業と連携し、新しいサービスを作るという取り組みだ。

 例として、デンソー コネクティッドシステム事業推進部 コネクティッドシステム開発室の川岸良平氏は車とサービスの連携をテーマにした試作を発表した。デンソーがジオフェンスモジュールと車載発話モジュールを提供し、ツリーベルとノーリツの2社がそれに応えてユースケースを提案したという形だ。

 ツリーベルはホテルの予約システムとの連携を提案した。利用者の車がホテルの近くまで来ていることが分かれば受け入れの準備ができるし、遅れているようなら到着予定時刻の変更といった対応ができる。運転中の場合は電話連絡できないが、車内発話システムによりホテル側からの連絡も利用者に伝えられる。

 ノーリツは風呂の給湯システムとの連携を提案した。帰宅してすぐ風呂に入りたい場合、設定しておけばある程度近くまで帰って来た時点で自動的に準備を始めるようになる。準備ができたら車内発話システムで知らせることも可能だ。

 こうした連携をする場合、機器を相互接続するための設定に手間がかかるものだが、「ifLinkを使えば既存のモジュールを利用できるので、あらためてカスタマイズする必要がなく、開発の工数を減らせるのは便利」(川岸氏)。実際に、開発を始めてから1カ月でデモを動作させて評価するところまで到達できたという。

これが「ブカツ」の成果

 今回のイベントでは、メディア向けに展示ブースも設けた。こちらはテーマに沿って人が集まって活動する「ブカツ」という取り組みの展示が主となっており、まだ事業化の見通しまで至っていない開発段階の成果を確認できた。以下ではその様子を写真で紹介していく。

「ifLinkで新型コロナ課題を解決するぞ部」の展示。二酸化炭素の濃度を検出するセンサーとファンを組み合わせ、濃度が既定値を超えると警告や換気をするというシステムだ(写真:宮川 泰明、以下同)
「電池レスビーコンでIoT部」の展示。振動やソーラーパネルで発電し、その電力のみで動作するセンサーを使う。振動発電ビーコンは振動した数を記録できるため、高齢者に腰に付けてもらい見守りに利用するといった構想があるという
「指紋認証でイフる部」の展示。インターネット決済を指紋認証でセキュアに実行するための外付けモジュールを開発していた
ifLinkに対応したモジュールの展示。温度・湿度などを測るセンサーや、入力用のボタンなどがある。アプリで乾電池の電源操作ができる「Mabeee」も対応している

(タイトル部のImage:オンラインイベントの画面キャプチャー)