eICU活用が「COVID-19対応に役立った」

 発表会には昭和大学医学部集中治療医学講座の小谷透教授が登壇。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療におけるeICUの活用などについて語った。

昭和大学医学部集中治療医学講座の小谷透教授

 昭和大学は、現在4つの病院を運営。そのうち昭和大学病院と江東豊洲病院でeICUが2018年7月から本格稼働しており、50床のベッドを同時にモニタリングしている。将来的には残りの2病院にも導入し、100床以上を統合して支援していく考えだ。

 小谷氏によれば、今回のCOVID-19の発生にあたって、4月ごろから重症患者が急増し、最重症患者に行うECMO(Extracorporeal membrane oxygenation:体外式膜型人工肺)もうなぎ上りに増えた。東京ではCOVID-19以外の重症患者を普段からケアしている病院が多くあったため、それらの病院は「COVID-19陽性患者の治療と普段の医療とのバランスをどう保っていくべきかという問題に直面した」(同氏)という。

 昭和大学病院でも、都立病院から多数の転送依頼があり、ECMO患者も含めて患者が増加したため「危機的な状況に陥った」(小谷氏)。ただ、幸いにも陰圧個室を多数備えていたことから、中等症患者は一般病棟に、重症患者はICUに振り分けることで患者増に対応した。

 これに加えて、eICUの活用が「COVID-19対応に役立った」と小谷氏は振り返る。陰圧個室内にいるCOVID-19陽性患者は完全防護服を着て診療する必要があるため、完全防護服を1度脱いでしまうと、患者の個室にもう一度入り直すことが簡単ではないからだ。さらに、COVID-19陽性患者の治療はチーム医療で展開されるため、通常であれば多くのスタッフが部屋に入る必要があることも見逃せない。スタッフの安心・安全の確保は重要であり、院内感染を引き起こすことは避けたい。

 そこで昭和大学病院では、スタッフの安心・安全を確保すべく、ワークフローを見直した。各スタッフの業務負担を低減し、「できるだけ短い時間で、患者を十分にケアできるような形に変更した」(小谷氏)。そこで、患者をリアルタイムでサポートし、業務の質を担保するためのツールとして機能したのがeICUだったという。

昭和大学でのeICUの成果

 eICUの導入によって、ICU入室患者の予測値に対する実死亡率が「半分以下に改善された」という成果を小谷氏は紹介した。eICUによってICUのベッドを有効活用できるようになったため、院内の急変患者にも迅速に対応することが可能になり「病院全体の死亡率も改善された」というデータも得られているという。

 一方で、近年は「入室時の重症度が年々増加している」という背景から、患者の滞在日数が増えたというデータも出ているという。小谷氏はこれを、「重症患者に等しく治療機会を与える」という意味では見逃せない問題と認識している。滞在日数の増加はeICUの解析データからリアルタイムで知ることができるので、「そこが次に改善すべき目標であり、改善のためのモチベーションにもつながる。その意味でも、このようなデータは非常に重要だ」と結論付けた。

(タイトル部のImage:オンライン会見のキャプチャー)