ハイビジョンの16倍という高解像度で、1mm以下の血管やリンパ管をつなぐ──。そんな微細な外科手術を可能にする8K手術用ビデオ顕微鏡システムをカイロスが発売した。

手術用ビデオ顕微鏡システム「マイクロエイト」(写真:Beyond Healthが撮影、以下同)

 事故で指を切断してしまった場合、血管や神経をつなぎ合わせることで、指を失わず、感覚も取り戻すことができる。また、がんの手術で転移を防ぐためにリンパ節を取り除くと、リンパ液が組織に貯まる「リンパ浮腫」が起きることがあるが、リンパ管を静脈に接続することで改善できる場合がある。

 こうした手術は「微小外科手術(マイクロサージャリー)」と呼ばれ、ルーペや顕微鏡と特殊な器具を使って行われる。直径1-2mmの血管などをつなぐ手術を「マイクロサージャリー」、直径0.5mm前後とさらに細い血管などをつなぐ手術を「スーパーマイクロサージャリー」と呼ぶ。切断された手指の再接着は1965年に日本で世界初の手術が成功し、以来、日本のお家芸の1つとなっている。

 エア・ウォーターの子会社で高精細の医用画像機器を製造・販売するカイロスは、こうした微小外科、超微小外科の手術向けに、現行ハイビジョン(1920×1080ピクセル:約200万画素)の16倍に当たる8K(7360×4320ピクセル:約3300万画素)で撮像・表示できる手術用ビデオ顕微鏡システム「マイクロエイト」を9月2日に発売した。

慶應義塾大学教授の小林英司氏

 価格は、カメラ本体とカメラアーム、画像処理プロセッサーや小型モニターを含むシステムカート、70インチ8Kメインモニターの標準構成で6500万円から。3年間でレンタルを含め100台の販売を見込んでいる。同社は2017年に腹腔鏡手術に用いられる8Kビデオ硬性内視鏡を発売しており、マイクロエイトは2番目の製品となる。

 画像の精細さは素人目にも目を見張るもので、本製品の開発にも参画してきた慶應義塾大学医学部教授の小林英司氏も、「これまで(の手術用顕微鏡では)見たことがなかった画像が見える。治らなかった患部を治療できるようになるかもしれない」と驚きを隠さない。