日本における治療用アプリの先駆者である、スタートアップのCureApp(キュア・アップ)。2020年12月には禁煙治療向けの治療用アプリ「CureApp SC」が保険収載され、日本で初めて治療用アプリに公的医療保険が適用された(関連記事:CureAppの禁煙治療用アプリ、保険適用を中医協が了承)。

 同社では並行して、高血圧、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)、アルコール依存症、乳がんに向けた治療用アプリの開発を進めている。この中で、CureApp SCに続き実用化の現実味を帯びてきたのが高血圧治療用アプリだ。現在、第3相の治験が終了し、2021年5月に薬事申請を行なった。早ければ2022年の保険適用を目指すとしている。

 2021年9月3日、同社は高血圧治療用アプリの治験結果報告会を開催。同社代表取締役社長で医師の佐竹晃太氏、治験に協力した自治医科大学内科学講座循環器内科学部門教授の苅尾七臣氏、金沢大学附属病院 先端医療開発センター/循環器内科 特任准教授の野村章洋氏が出席した(野村氏はオンラインでの参加)。

治験結果報告会に参加した面々。左が苅尾氏、中央画面内が遠隔参加の野村氏、右が佐竹氏(写真:小口 正貴)

 治療用アプリとは、医学的エビデンスに基づき個別に最適化された治療ガイダンスを患者に届けるソフトウエア支援型のツールだ。一般的なヘルスケアアプリとの最大の違いは、薬剤同様に医師が処方する点にある。佐竹氏はその仕組みを次のように語る。

 「初診で医師の診断のもとに治療用アプリが処方され、処方コードが発行される。アプリに処方コードを登録して初めてアクティベートできるようになる。通院の間に治療経過や体調などを記録し、送信されたデータをCureAppのシステムで解析。患者の状態に応じて個別化した治療の指示、メッセージ、ときには動画などのコンテンツが配信されて行動変容を促す」(佐竹氏)

治療用アプリの可能性について話す佐竹氏(写真:小口 正貴)

 これにより、従来は月に1回、5〜10分ほどの診察時間で把握していた生活習慣を継続的に追跡。医師、患者双方にとって生活習慣の改善精度が向上する。佐竹氏は「必要なときに必要なタイミングで、行動変容に関するメッセージ介入が可能だ」と述べた。このスキームを高血圧治療に導入する。

 高血圧は国内で4300万人の患者がいるとされるが、適切に管理されているのは全体の4分の1程度だという。脳卒中、心筋梗塞、大動脈解離など重篤な疾患につながる恐れが高く、予防のためにも早急な高血圧の抑制が求められる一方で、未治療者の多さや認知率の低さといった課題が挙げられる。

 「高血圧は治療を開始すると薬を飲み続けなければならない現状がある。そこでまずは治療用アプリを活用して薬を飲む前の段階、初期の生活習慣指導において介入支援をしたいと考えている」(佐竹氏)