大阪大学発バイオベンチャーのアンジェスは、同社が開発した遺伝子治療薬「コラテジェン」の発売を受け、9月9日に都内で記者説明会を開催。代表取締役社長の山田英氏は、「国産初の遺伝子治療薬。しかも、プラスミドDNAを使った遺伝子治療薬は世界初。日本で発見されたHGF(ヒト肝細胞増殖因子)が医薬品になるのも世界初。血管新生の領域でマーケットができるのも世界初」と、“初物づくし”の新薬が医療分野にブレークスルーをもたらすと強調した。

 アンジェスがコラテジェン(一般名ベペルミノゲンペルプラスミド)の開発を始めたのは約20年前。その間、米国で遺伝子治療による死亡事故や有効性を疑問視する報告が出て、国内外で遺伝子治療の開発が下火になる時期もあった。アンジェスはそうした逆境を乗り越えて、日本発の遺伝子治療薬の製品化にようやくこぎ着けたことになる。ゲノミクス(ヒトゲノム解析技術)が診断領域で脚光を浴びる中、コラテジェンをきっかけに遺伝子治療は再び存在感を増すのか。アンジェスにとってはこれからが正念場といえる。

手術不能ケースの切り札に

アンジェス代表取締役社長の山田氏(写真:Beyond Health、以下同)

 山田氏は、「日本でも生活習慣病が問題となり、心筋梗塞や脳卒中に加えて、慢性動脈閉塞症の頻度が増えている。糖尿病の患者に多く、重症虚血肢となり下肢切断のリスクも高い。治療としては、薬物療法や運動療法のほか血糖コントロールがあり、ステントを使った血管内治療のほかバイパス手術もあるが、外科手術が難しいとなった場合の治療が確立していない。コラテジェンの製品化はここに意義がある」と説明する。

 生活習慣の乱れなどで血圧値や血糖値が上がってくると、体には様々な問題が起きてくる。このときに注意すべき問題の一つが血管の「動脈硬化」と呼ばれる現象だ。動脈硬化は、血管の壁が文字通り硬くなったり厚くなるもので、血管の内部が狭くなって、血液が流れづらくなってしまう。影響が大きいのが、体の末端に近い手足の血管。この状態が悪化すると、慢性動脈閉塞症や閉塞性動脈硬化症と呼ばれる、病的に血流が滞った病気になる(関連記事)。

 従来、こうした場合の治療は、山田氏が指摘するように、動脈硬化や血管の詰まりを防ぐ血管拡張薬や抗血小板薬を使う薬物療法のほか、運動療法がある。血管の詰まりが著しくなった場合には、カテーテルを血管に通して物理的に血管を広げる手術(経皮的血管形成術[PTA])、別の場所から取った血管をつないで血流を回復させる「バイパス手術」が行われている。こうした手術は最終的な手段となるが、太い血管では行えても、末端に近い細い血管では行いづらい問題がある。結果として、手足の先に血流がなくなると、なすすべがなく細胞が壊死し、足切断の選択を取らざるを得ないこともある。山田氏の説明通り、コラテジェンは手術を含めた他の治療手段がなくなったときの切り札として期待されている。