腸内環境をテーマに活動するスタートアップ2社がタッグを組んだ。AuBとメタジェンは、ヘルスケア分野の商品開発での協業を発表、腸を温めるとともに睡眠の質などを改善するウェアの開発をスタートした。その成果を生かしたインナーウェアを2022年2月目途に発売する予定である。

 AuBは「すべての人を、ベストコンディションに」をミッションとするスタートアップで、2016年からアスリートの腸内細菌データの研究をスタートした。これまでに33競技、750人以上、1700検体以上を収集してきた。研究では、トップアスリートは一般生活者よりも「腸内環境の多様性が高い」「酪酸菌を2倍以上保有している」ということがわかってきており、こうした成果を一般生活者の課題解決にもつなげようとしている。サプリメントやプロテインを開発・発売するなど、フードテックにも力を入れている(関連記事:「コンディショニング」を一般生活者の手にも)。

 メタジェンは「最先端科学で病気ゼロを実現する」をビジョンに掲げるスタートアップ。腸内環境情報に基づく研究開発を行っている。例えば、一人ひとり異なる腸内環境のタイプに合わせて「どんな食事やサプリメントを摂取したら良いか」、さらには「どんな医薬品を使用したら良いか」を提案している(関連記事:「腸内デザイン」でヘルスケアの層別化を目指す)。

 今回の発表に合わせて、両社は共同記者会見を開催。サッカー元日本代表でAuBの代表取締役を務める鈴木啓太氏と同社 研究統括責任者の冨士川凛太郎氏、メタジェン 代表取締役社長 CEOの福田真嗣氏が登壇し、共同研究の内容などを紹介した。

AuB 代表取締役の鈴木啓太氏(写真:近藤 寿成、以下同)
AuB 代表取締役の鈴木啓太氏(写真:近藤 寿成、以下同)
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 両社が進める共同研究において、ポイントの1つとなるのが「腸内細菌」である。冨士川氏によれば、人間の腸内には「およそ40兆~100兆個の細菌がおり、その種類は約1000種類になる」。一方で、細菌の数や量、種類は「人それぞれで異なる」ほか、その割合は「幼少期の環境やその後の食生活などによって変化してくる」という。

 冨士川氏は、近年、腸内細菌が注目されている理由の1つとして「腸内細菌に関わる研究論文の発行数の増加」を挙げる。「筋肉やアレルギー、認知症、持久力への影響」なども解明されており、アスリートのみならず「一般生活者にも非常に大きな影響がある」と指摘する。

AuB 研究統括責任者の冨士川凛太郎氏
AuB 研究統括責任者の冨士川凛太郎氏
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 こうした背景のもと、両社が注目したのは「おなかを温めると便通や健康に良い」という古くからの言い伝えだったという。腸活のやり方として食事や運動、睡眠の改善はよく知られているが、経験則的に有効だと考えられている「おなかを温めること」については、その効果などが「科学的に証明されていなかった」(冨士川氏)。そこで両社は、おなかを温めることに「本当に効果があるのか」「なぜ効果があるのか」を明らかにする共同研究を2021年1月に開始した。