「高齢化」と「少子化」。ウェルモは、日本が抱える二大課題をテクノロジーや人的サービスによって解決しようと取り組んでいるスタートアップの1社だ(関連記事)

ウェルモ代表取締役CEOの鹿野佑介氏(写真:小口 正貴、以下同)

 そのウェルモはこのほど、大企業との連携強化によって、課題解決のスピードアップを目指す戦略を明らかにした。「テーマはオープンイノベーション。連携を強化しながら課題解決の領域を拡大していくのが狙い」。同社 代表取締役CEOの鹿野佑介氏はこう語る。

 連携を強化する大企業の1社が、コニカミノルタである。2019年8月末には、同社をはじめとする数社から11億7000万円の追加増資を実施。さらに、同社との事業アライアンスの締結も発表した。

 今回のアライアンスで焦点を当てたのは、ウェルモが取り組む二大課題うちの高齢化。同社が注力してきた介護領域に関してである。コニカミノルタとのアライアンスによって、IoT×AIによるエビデンスに基づいた科学的介護の実現を目指すという。

なぜコニカミノルタだったのか

 介護領域においてウェルモは、地域の介護情報を見える化したデータベース「MILMO(ミルモ)」、そしてAIによるケアプラン作成支援システム「CPA(ケアプランアシススタント)」を展開している。

 MILMOは中小規模の介護事業者、ケアマネジャー、行政を結ぶ情報サービスとして高い評価を得ており、これまでに東京都大田区、横浜市、福岡市、札幌市で展開。約35000事業所の介護サービス情報をカバーする。そして、CPAは研究開発中のAIエンジン。現在、初期ユーザーやケアプランデータ提供協力者を募集するなど、完成に向けてブラッシュアップを重ねている。

 一方、コニカミノルタは2016年から介護業界に参入。高精度なセンサー、カメラなどIoTを用いた居室内高齢者の行動認識などのケアサポートソリューションを提供している。行動記録や睡眠状況などをスマホで閲覧・共有できる仕組みを確立し、介護業務ワークフローの改善に一役買っている。

コニカミノルタ 常務取締役の市村雄二氏

 コニカミノルタ 常務取締役 市村雄二氏は、今回のウェルモとのアライアンスについて次のように語る。「我々のソリューションで約30%の業務効率化を実現したお客様もいる。これからの介護には科学的な視点が必要だ。ウェルモのCPAと連携することで、次世代の科学的介護を発展させていきたい」。

 なぜコニカミノルタだったのか。ウェルモの鹿野氏は、「これまでさまざまな会社からセンサー技術の協力申し出があったが、コニカミノルタには圧倒的な技術力がある」と説明する。AIにとって良質なデータは必須だけに、「センサーによる高精度な客観的データに基づく推論が確立できれば、属人性のばらつきは減っていくだろう」(鹿野氏)とした。

ヘルスケア・福祉分野に関心を強めているLINEも

 今回の11億7000万円の追加増資には、コニカミノルタ以外にも多くの出資先が名を連ねている。このうち、ウェルモが取り組むもう一つの課題である「少子化」のサービスに着目して資本業務提携を結んだのが、首都圏を中心に広く保育園事業を手がけるグローバルキッズだ。

グローバルキッズ 代表取締役社長の石橋宜忠氏

 ウェルモは現在、福岡県を中心に発達障害の子どもをケアする施設「Unico」を運営している。この事業について、グローバルキッズ 代表取締役社長の石橋宜忠氏は「福岡まで視察に行き、とても丁寧に一人ひとりの子どもに合ったプランを提供する姿勢に共感を覚えた」と率直な感想を述べた。グローバルキッズでも2019年6月に発達障害支援施設の「グローバルキッズ Act 清澄白河」を開設しており、今後は関東を中心に協力体制を深めていく考えだ。

 ベンチャーキャピタルであるLINE Venturesも今回の出資先の1社。同社の木村正博氏は「(ウェルモの)鹿野氏の介護領域に対する思いの強さはもちろんのこと、圧倒的な行動力と突破力に惹かれた。難しい局面を切り抜ける力を持っている」とし、その手腕を高く評価。LINEがヘルスケア・福祉分野に関心を強めていることから、今後のさらなるパートナーシップにも含みを持たせた。

(タイトル部のImage:ウェルモが提供)